フルスイングの余韻(山崎武司)

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期待の新人選手 「伸びしろ」を決めるもの

2019/3/3 6:30
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2月は各球団の春季キャンプを回った。今年は外野手に楽しみな新人が多い。ドラフト1位で入団した彼らのプレーに注目してみた。

まずはロッテの藤原恭大(大阪桐蔭高)。3安打を放った中日との練習試合を見たが、スイングがしっかりしている。軸足に体重を乗せての豪快な振りは、さすが3球団が競合した選手だ。プロとしてはまだ体の線が細いが、実戦で使えばある程度いけそうな気がする。

藤原の軸足に体重を乗せての豪快な振りは、さすが3球団が競合した選手だけのことはある=共同

藤原の軸足に体重を乗せての豪快な振りは、さすが3球団が競合した選手だけのことはある=共同

楽天の辰己涼介(立命大)もしっかりバットを振れる。足も速いし、長打も打てそうだ。とはいえチームの外野陣は昨季新人王の田中和基や島内宏明のほか、4年目を迎えるオコエ瑠偉ら楽しみな人材が多い。試合に出るには結果を残すしかない。

阪神の近本光司(大阪ガス)も1軍レベルの実力がある。大活躍できるかはわからないが、持っている力を出せれば戦力になる可能性が高い。「赤星2世」と呼ばれることもあるようだが、正直、ルーキーから5年連続盗塁王になった先輩ほどの足はない。

新人たちを見ていると、ルーキー時代の自分のことも思い出す。高校生だった僕は「プロでも普通にやれるだろう」と甘い考えでキャンプに入った。プロの洗礼を浴びたのはシート打撃だ。マウンドに立ったのは150キロ右腕の宮下昌己さん。直球しかこないとわかっていても、かすりもしない。変化球が入ってきたらどうなってしまうのか。根拠のない自信は一瞬で崩壊した。

宿では落合博満さんと同部屋になった。すごい選手だとはわかっていたが、落合さんから積極的に何かを学ぶには、18歳は幼すぎた。部屋にいても使いっ走りで買い物に行かされるだけだから、できるだけ外にいて寝るときだけ戻るようにした。

記憶に残る新人といえば真っ先に思い浮かぶのが楽天時代の田中だ=AP

記憶に残る新人といえば真っ先に思い浮かぶのが楽天時代の田中だ=AP

一方、記憶に残る新人といえば真っ先に思い浮かぶのが楽天時代の田中将大(現ヤンキース)だ。キャンプのシート打撃で初めてボールを見た印象は「こんなものか」。甲子園で騒がれたとはいっても「所詮は高校生。この程度のボールじゃ俺は抑えられないぞ」と思った。

ところがその後の成長のすさまじかったこと。みるみるうちに力をつけ、3年目を迎える頃には球界を代表する投手になっていた。その後も進化は止まらず、台風のように日本球界を過ぎ去っていった。

長くプロにいると、これは天才だとうなる選手に出会うことがある。中日に入ってきた森野将彦(現2軍打撃コーチ)や高橋周平もそうだった。なかでも田中が特別だったのは謙虚さを兼ね備えていたことだと思う。最初は打たれてもそこから学び、糧にしようという意識が人並み外れて強かった。

野球選手は個人事業主だ。先輩やコーチはいても、最終的には自分で考え、大きくなっていくしかない。「ポテンシャル」や「伸びしろ」を決めるのも、煎じ詰めればこの能力に懸かっている。

(野球評論家)

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