2019年8月19日(月)

今や美魔女?オバタリアンいずこへ(平成のアルバム)

2019/3/2 6:30
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漫画「オバタリアン」(C)堀田かつひこ/竹書房

漫画「オバタリアン」(C)堀田かつひこ/竹書房

うわさ話が大好き、いつも声が大きい、すぐムキになる……。平成の初め、そんな厚顔無恥な中年女性を「オバタリアン」と呼んだ。語源は1987年に連載を始めた堀田かつひこさん(66)の同名漫画だ。

大学卒業後、東京・高円寺を拠点に売れない少女漫画を書いていた堀田さん。暇をもてあまし、日中のスーパーや電車内で人間観察をするうちに30~70代の女性の生態が気になった。自分の中の正義を貫き、ずうずうしく振る舞う姿に衝撃を受け、ギャグ漫画に仕立てようと思いついた。

オバタリアンは86年公開の米ホラー映画「バタリアン」(Battalion=大群)とおばさんを組み合わせた造語。漫画は大ヒットし、国民的人気に。「私のことを書いたでしょ?」と行く先々で女性から声をかけられたという。

89年の新語・流行語大賞にも選ばれた。日本社会党委員長で女性議員としてブームを巻き起こしていた土井たか子さんが同時受賞者。土井さんは女性の政治進出を「オバタリアンパワー」と声高にアピールした。

男女雇用機会均等法ができて間がなく、中年女性の多くは専業主婦かパート従業員だった。漫画のオバタリアンものんびりと昼寝をしたり、ワイドショーを見たり。その後、フルタイムで働く女性が徐々に増え、女性の社会進出は加速した。

2010年には雑誌「美STORY(現・美ST)」(光文社)が35歳以上の女性が内面や外面の美しさを競う「国民的美魔女コンテスト」を始めた。仕事や趣味にいそしみ、年齢不詳の美しさをまとう知的な女性たちに、かつてのオバタリアン像は見る影もない。

今やオバタリアンは名実ともに滅びたのか。堀田さんは「街で見かける中年女性は装いがオシャレでスマートになり、オバタリアンはすっかり見かけなくなった」と感慨深げ。ただ、「僕が描きたかったオバタリアンは愛嬌(あいきょう)のある憎めない人。今は男女ともにキレるクレーマーが増えて、社会がギスギスしている気がする」と寂しそうにつぶやいた。

オバタリアン 月刊漫画誌「まんがライフ」(竹書房)などに掲載された堀田かつひこ氏による4コマ漫画のタイトル。ワイドショーなどで取り上げられ、話題を集めた。テレビアニメ化もされた。シリーズを増やし、連載は1987年から2008年まで続いた。

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