金正恩氏、訪越で経済重視 党の政策責任者ら同行
発展の成功、現場で学ぶ

2019/2/27 19:30
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【ハノイ=鈴木壮太郎】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は米朝首脳会談のためのベトナム訪問で経済重視の姿勢を鮮明にしている。訪越団には経済政策の責任者らが加わり、社会主義体制を維持しながら経済発展を遂げたベトナムを現場で学んでいる。北朝鮮メディアは27日、金正恩氏が会談終了後も3月2日までベトナムに滞在すると報じた。同氏が現地の工場を視察するとの観測が出ている。

朝鮮中央通信が報道した訪越団の顔ぶれをみると、中心は朝鮮労働党や政府で米朝協議を担当するメンバーだ。金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長や李容浩(リ・ヨンホ)外相、崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官、金革哲(キム・ヒョクチョル)米国担当特別代表らがそうだ。

そんな顔ぶれに交じって目を引くのが、呉秀容(オ・スヨン)党副委員長だ。韓国の北朝鮮専門家によると、呉氏は党経済部長で、経済問題を管轄する責任者だ。名門の金策工業総合大学出身の技術官僚で電子工業相も務め、金正恩氏が強い関心を寄せるIT(情報技術)に精通する。

金平海(キム・ピョンヘ)党副委員長は内閣や官僚の人事を握る党幹部部長だ。官僚を指導して学習させる責任者だ。韓国の専門家は「ベトナムの現場を学び、北朝鮮に戻って官僚に学習させる役割ではないか」と分析する。

呉氏や金平海氏は李洙墉(リ・スヨン)党副委員長らとともに27日朝ホテルを出発し、世界遺産の観光地、ハロン湾に向かった。北朝鮮は東部・元山の海岸沿いの「元山葛麻海岸観光地区」で外国人観光客向けのリゾート施設を計画している。その参考にするためではないかとの観測が広がる。

工業都市ハイフォンでは、不動産最大手のビングループが6月の販売開始を計画している自動車の工場も視察した。韓国メディアは一行が自動車に試乗したり、担当者に熱心に質問したりする様子を伝えた。

ベトナム国内では金正恩氏がハノイ市近郊にある韓国サムスン電子のスマートフォン(スマホ)工場を見学するとの観測が出ている。サムスンはベトナムで存在感が大きい。ベトナム北部に2カ所のスマホ工場を持ち、南部には家電工場を構える。サムスンはベトナムの総輸出の約25%を占める。ただ、サムスンは27日に「視察の予定はない」と否定した。

ベトナムは1986年から「ドイモイ(刷新)政策」という独自の開放策を続けてきた。共産党による統治の骨格を維持しながら、海外資本を積極的に誘致する手法で、東南アジア有数の経済成長を達成した。2018年の実質国内総生産(GDP)成長率は7.08%。リーマン・ショックが起きた08年以降最大の伸びになっている。

北朝鮮のベトナム経済への関心は強いとされる。韓国の毎日経済新聞は18年4月の南北首脳会談のさい、金正恩氏が文在寅(ムン・ジェイン)大統領に「ベトナム式の改革を推進したい」と語ったと報じた。

18年2月の平昌冬季五輪にあわせて訪韓しソウルなどで公演した「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」の玄松月(ヒョン・ソンウォル)団長もハノイ入りした。公式行事での公演が計画されているとみられる。

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