2019年8月20日(火)

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伊達公子 求め続けた「プロとは何か」
テニス進化論(2)

テニス進化論
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2019/3/3 2:01 (2019/3/5 2:00更新)
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日本経済新聞 電子版
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2017年9月、雨上がりの夕焼けのなか、伊達公子は現役最終戦を有明テニスの森公園で終えた。スコアは0-6、0-6。16年に手術した膝に痛みは残り、肩痛も発症。見ている方がつらくなるほど動けなかった。

■現役最終戦も「勝たないと」

試合後のセレモニーではその功績をたたえる多くのメッセージが披露された。そのなかで爆笑を誘ったのが高校の後輩、浅越しのぶの言葉。そこには伊達公子という人物がわかりやすく表れていた。

「第2セットの0-5で(コートに)コーチを呼んだでしょ。解説をやっていると(コーチがつけた)マイクが拾う声を聞けて……。伊達さんが『1ゲームとりたい』と言った時、涙でてきた。まだとりたいのって」

妥協することなく、目標に向かって一直線。そのために必要だと思うことは何でもやる。「プロとして勝たないといけない。そこそこでいいと思ってプロになったわけじゃないから。自分の目標を達成するために何が必要か。(それを外に)言わない理由の方が私には見えづらいという考え」

目標達成にそれだけ真剣、ということ。そこから生まれる周囲との摩擦も、バッシングも割り切って受け止めた。「テニスは個人スポーツ。勝負の世界だから、結局は勝つためだから、という結論に常に落ち着いていた」。多くの日本人はわかっていてもそこまでできない。だからこそ、強い伊達にみんながしびれ、ライバルである選手たちは畏敬の念を抱いた。

「プロになって何を目指しているのか」。いまのプレーヤーへの注文は厳しい

「プロになって何を目指しているのか」。いまのプレーヤーへの注文は厳しい

プロになるまでの道のりはいたって平凡だ。スポーツ好きの両親が通っていたテニスクラブで初めてラケットを握ったのが6歳。強豪の園田学園高(兵庫県)に進学し、部活動の傍ら、プロコーチの小浦猛志の指導も受け、才能が開花した。高3の88年高校総体ではシングルス、ダブルス、団体の3冠を獲得し、卒業後プロとなった。

■同世代を追いかけ、ライジングショットに活路

ティーンエイジャーの燃え尽き症候群の問題が顕在化し、94年には女子テニス協会(WTA)が18歳になる前のツアー出場に制限を設けた時代だから、18歳でのスタートは決して早くなかった。同じ89年組のモニカ・セレシュ(当時ユーゴスラビア)は15歳。シュテフィ・グラフ(ドイツ)は82年に13歳でプロとなり、88年には四大大会とソウル五輪をすべて制してゴールデンスラムを達成し、伊達と同世代がすでに世界を席巻していた。

部活が中心で海外遠征は数えるほどしか経験がなかった伊達にはプロの世界を想像できなかった。あったのは「小浦さんから聞かされていた『プロとはなんぞや』という心得。そこだけは、今のジュニアより聞かされていたと思う」。その言葉を胸に、まずは四大大会に予選なしで出場できる世界ランキング100位以内、そして井上悦子が88年に記録した日本女子最高位となる26位を追い越すことを目指した。

身長163センチは日本では標準でも、世界では小さくて細身。プロ1年目から四大大会に出場したものの、さらにその先を見据えると、欧米人との筋肉の質、持って生まれたフィジカルの差を痛感させられた。ではその中でどう生き残るか? 今更背は伸びないし、トレーニングで欧米人のような筋力はつかない。「自分を補うためのものが必要と感じた結果が、ライジングショットだった」。動物が生存のために必要な機能を伸ばすのに似ている。

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