2019年8月19日(月)

リニア地下鉄 全国最初は大阪 長堀鶴見緑地線(もっと関西)
とことんサーチ

関西タイムライン
2019/2/28 11:30
保存
共有
印刷
その他

大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の長堀鶴見緑地線に乗ると、他の路線よりも天井が低くコンパクトな車体であることに気がついた。調べてみると、全国で初めてリニアモーターが使われた地下鉄の電車という。なぜ大阪で最初に「リニア地下鉄」が走ることになったのか。一般的な車両との違いや利点を探った。

大阪メトロの「リニア地下鉄」。線路の間にリアクションプレートがある(大阪市鶴見区の鶴見緑地駅)

大阪メトロの「リニア地下鉄」。線路の間にリアクションプレートがある(大阪市鶴見区の鶴見緑地駅)

長堀鶴見緑地線は大正(大阪市大正区)から門真南(大阪府門真市)の15キロを30分超で結ぶ。1990年3月の開業当時は京橋(大阪市都島区)から鶴見緑地(同市鶴見区)までの5駅だったが、97年8月に現在の区間に延伸された。

■車体はコンパクト

コンパクトな車体の理由は何か。大阪メトロ(大阪市西区)を訪ねると、広報担当者が「小型のリニアモーターを採用した地下鉄だから」と教えてくれた。リニアと言えばJR東海が建設中のリニア中央新幹線を連想するが、地下鉄のリニアは別のものだという。

リニアは英語で「直線」の意味。一般的な地下鉄の車両には筒状の回転形モーターが使われるが、リニアモーターは平たい板状の構造が特徴だ。車体下部の台車に取り付けたリニアモーターに電気を流すと、線路の中央部に敷いた金属製のリアクションプレートとの間に磁力が発生。磁力の吸引力と反発力を利用して車体を推進させる仕組みだ。

リニアモーターカーは、新幹線に代表される「磁気浮上式」と、地下鉄に代表される「車輪式」に大別される。前者は長距離の輸送に適し、時速500キロの走行もできる。車体の重さを車輪で支える後者は時速100キロ以下で走り、駅間の距離が比較的短い都市交通に適性があるとされる。

大阪メトロで最も古い路線で回転形モーターを使う御堂筋線と比べると、長堀鶴見緑地線の車体は2割ほど小さい(表(1))。板状のモーターで車体下部などが簡素化されたためだ。

■トンネル建設安く

車体の小型化は、建設費の削減が狙いだ。トンネル断面の高さは長堀鶴見緑地線の4.3メートルに対し、御堂筋線は5.7メートル。トンネル1キロ当たりの工事費は200億円(京橋―鶴見緑地間)と、御堂筋線(87年4月開業のあびこ―なかもず間)の301億円に比べ3分の2程度だったという。

大阪市で地下鉄の小型化の研究が始まったのは60年代ごろ。運輸省(現国土交通省)などが87年から大阪・南港でリニア地下鉄の走行実験をはじめ、実用化のメドが立った。

当時の大阪市では、国際花と緑の博覧会の誘致が決まっていた。90年4月の開幕に向け、会場となる鶴見緑地への交通手段として88年9月にリニア地下鉄の導入を正式に決定。急ピッチで工事を進め、全国初の路線となった。2番目は東京都営地下鉄大江戸線で、開業は91年12月だった。

磁力で走るリニア地下鉄は、急勾配や急カーブにも対応しやすい。大阪メトロは「大阪市中心部には複数の路線が乗り入れ、新路線は地下深くに作る必要がある。急勾配に対応できることも、長堀鶴見緑地線がリニアモーターになった理由の一つ」と説明する。

日本地下鉄協会(東京)によると、リニア地下鉄は現在、全国に7路線(表(2))。同協会は「建設費の安さから全国の地下鉄に広がっている。大都市は大量輸送の補完、地方都市では主要路線として、ニーズに合っている」とみている。

(大阪社会部 今井孝芳)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。