「昇任で女性差別」認めず 東京地裁、厚労省職員敗訴
厚生労働省統計情報部の50代女性係長が「昇任・昇格に男女差別がある」として国に損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。西村康一郎裁判長は「昇任に裁量の逸脱、乱用はなく、女性差別と認められない」として請求を棄却した。
判決理由で西村裁判長は「原告と同期入省で課長補佐級以上に昇任している女性も相当数いる」と指摘。昇任などの差異は「構造的な性差別とはいえない」と判断した。
訴状によると、女性は国家公務員2種採用で1989年に旧労働省に入省。96年に係長になるまでは同期男性と同様に昇任したが、その後、課長補佐に昇任できず「女性は不当に低く評価された」と主張していた。
判決で西村裁判長は同省の女性職員の働き方について「国会対応などで不規則な勤務を強いられがちな執務状況の中、(女性が)男性に比べて家族や家庭に対する責任を負わせられ、ハンディを背負わされがちな社会的要因があった」とも言及した。