2019年8月26日(月)

メキシコ、遠い石油産業復活 国営石油救済「不十分」

2019/2/27 11:04
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【メキシコシティ=丸山修一】メキシコのロペスオブラドール新政権が石油産業復活に躍起になっている。財務体質悪化が進む国営石油会社への大型金融支援を発表したほか、7割を輸入に頼るガソリンの完全自給をめざして大型の増産投資計画も打ち出した。しかし市場からは支援策への失望や増産計画への疑問が相次ぎ、復活の道は平たんではなさそうだ。

「もし必要なら追加の支援も約束する」。2月15日朝の定例会見でロペスオブラドール氏は国営石油会社ペメックスへ総額55億ドル(約6千億円)の支援策を発表した。ウルスア財務公債相も「もう決して有利子負債は増やさない」と自信をみせた。

メキシコ新政権が、生産量が落ち込み続ける石油産業の復活に力を入れている。ロペスオブラドール氏は石油産業の盛んなタバスコ州出身で、支持層の中心である貧困層向けに安価なガソリン提供が必要と考えているためだ。そこで打ち出したのが業績低迷で財務体質が問題視されるペメックスの再建と大型予算を投入しての原油・ガソリンの増産計画だ。

ペメックスの石油精製施設(ヌエボレオン州)=ロイター

ペメックスの石油精製施設(ヌエボレオン州)=ロイター

今回発表したペメックスへの支援策は2つの部分からなる。一つは金融支援。13億ドルの資本注入のほか年金債務の買い取り、控除枠拡大による減税(6年間)で合計39億ドルの支援を見込んでいる。もう一つは急増しているガソリン盗掘への対策強化の実施で、盗掘が減少することで、対策なしの場合の被害総定額である16億ドル分の効果が得られるとしている。

しかし支援策は千億ドル以上の有利子負債を抱える債務超過企業には不十分。1月下旬に格付けを2段階引き下げBBBマイナスにしたフィッチ・レーティングは「信用力悪化を食い止めるには不十分」としたうえで「年間12億~17億ドルの追加支援が必要」とする。生産減→業績悪化→投資減少、という負の連鎖を断ちきるには支援規模や戦略が不足しているようだ。

ペメックスのタンクローリー(ヌエボレオン州)=ロイター

ペメックスのタンクローリー(ヌエボレオン州)=ロイター

ペメックス支援とは別に打ち出した原油・ガソリンの増産計画も不透明感が強い。既存の6つの石油精製施設への増産投資に加えて新施設を建設し、7割を輸入に頼るガソリンの完全自給を達成するとしている。政府予算から今年度は750億ペソ(約4300億円)を拠出するがペメックスの負担額や、投資がそのまま増産という結果に結びつくかはわからない。

原油生産量も足元では落ち込みが続く。18年11月には過去25年で最低水準になった。新政権での目標は24年に1日当たり248万バレルの生産で、今年の目標からも3割以上増える。十分な投資資金もないうえ、近年成功していない新規油田の開発も必要で、バークレイズは「非常に楽観的な目標」として達成が難しいと警告している。

「着実に効果は出ている。最後まで徹底的に戦う」。ロペスオブラドール氏は取り組んでいる姿の見えやすい盗掘対策のアピールに余念がない。ペメックスにも「汚職がまん延している」として幹部の告発を準備している。徹底的に前政権までの権力層を批判、攻撃する姿に地元経済紙フィナンシエロの7日付世論調査では支持率が86%と就任以来最高になった。

国民とのハネムーンが続く中、自らの政権の成果を問われる時期は着実に近づいている。そのとき国民の支持を維持できているかは未知数だ。

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