北九州市は26日、非常勤職員や遺族が過去にさかのぼって労災を申請できるよう、条例の施行規則を改正した。市は昨年10月、非常勤でも申請自体は可能としたが、それ以前に発生した労災は対象外で、問題視されていた。
市では、戸畑区役所で働いていた非常勤職員、森下佳奈さん(当時27)がうつ病を発症して退職し、2015年5月に自殺した。
当時の条例は非常勤の労災申請を認めておらず、遺族は違法だとして17年8月に提訴。市はこれを契機に昨年10月、非常勤でも申請できるよう施行規則を改正したが、改正前の森下さんのケースは対象から外れていた。
市は、さかのぼっての労災申請を認めない自治体が全国で約2割にとどまることなどを踏まえ、過去分も認めるべきだと判断した。「非常勤職員が、より安心して働ける職場をつくるため」と説明している。〔共同〕