インド、パキスタン領を空爆 自爆テロに報復
緊張緩和の糸口みえず

2019/2/27 1:26
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【ムンバイ=早川麗】インド空軍は26日、隣国パキスタン北東部のバラコットにあるテロ組織の拠点を空爆した。インドの空軍機が越境するのは1971年以来となり、両国が領有権を争うカシミール地方でインドの警察隊が標的となった自爆テロへの報復にあたる。パキスタンはテロ攻撃とは無関係としてインドに対話を呼びかけるが、沈静化の糸口は見えない。

両国は47年に英国から独立した際、カシミール地方の帰属を巡り衝突。過去に3度戦火を交えた。今回の空爆はこの地域で定めた停戦ラインのすぐ近くで起きた。それぞれ核保有国の印パが本格的な紛争に突入すると、アジアの安全保障のバランスが崩れる恐れが出てきた。

インド空軍は26日未明にテロ組織の最大の訓練施設を攻撃した。インド外務省は「指揮官を含む多くのテロリストを排除した」と発表。インドメディアは300~400人のテロリストが死亡したと報じている。

カシミール地方のインド側では14日、イスラム過激派によるテロが発生し、インド警察隊の約40人が死亡した。インド政府は26日、「テロ組織の訓練施設に関する情報がパキスタンに寄せられていたが、同国は存在を否定してきた」と言及。インドは同国にテロ排除に動くよう求めてきたが「パキスタンは何の具体的な行動も起こしていない」(ビジェイ・ゴカレ外務次官)と非難した。

インドはテロ組織が新たな攻撃を計画しているとの情報を踏まえ、ゴカレ次官は「危険が差し迫るなか、先制攻撃は不可欠だった」と強調した。

今回の空爆は有権者を意識したモディ政権の一手との見方がある。インドは2016年9月にもパキスタン側を攻め、有権者の間ではモディ首相の強気な姿勢を評価する声が一部にあがった。今回も4~5月にインドで総選挙を控えるなか、モディ氏が再び攻撃することで低迷する支持のテコ入れを狙ったと見る向きがある。

一方、パキスタンは「インド空軍が領空侵犯した」と述べ、爆弾が落ちたとみられる山中の写真をツイッターで公開。同国のクレシ外相は「パキスタンは平和を望むがインドがカシミール地方の状況を悪化させている」と指摘した。

パキスタンのカーン首相も声明で「インドの行動は選挙を意識したものだ」と改めて明言している。今回の空爆に対して「パキスタンは時期と場所を選び対応する」とけん制し、不測の事態に応えられるようパキスタン軍に準備を指示した。

カシミール地方の緊張が高まると、アジア全体の安全保障に影響を及ぼす懸念がある。両国とも核兵器を保有し、核弾頭の数はインドが約130、パキスタンが約140。いずれも核拡散防止条約(NPT)に加盟せず軍拡競争を続けてきた。18年8月に就任したカーン首相は当初、対印関係の改善に意欲を示してきたが、両国関係は悪化に転じている。

インドのシンクタンク、ゲートウエーハウスのサミール・パティル氏は「今後の互いの応酬も実効支配線での銃砲撃や新たなテロといった形で表れるかもしれない」との懸念を示す。

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