BASF、純利益23%減 18年12月期 中国の新車減速が響く
【ミュンヘン=深尾幸生】欧州化学最大手の独BASFが26日発表した2018年12月期決算は、純利益が前の期比23%減の47億700万ユーロ(約5900億円)だった。中国の新車市場の減速で、基礎化学品などの収益が悪化した。売上高は2%増の626億7500万ユーロだった。収益の指標としている特殊要因を除く営業利益は63億5300万ユーロと17%減った。
同日の記者会見でマルティン・ブルーダーミュラー社長は「年後半の自動車向け、特に中国で需要が大きく落ち込んだ。米中の貿易摩擦を背景に、ほかの地域でも顧客が慎重になった」と話した。主力コンビナートを構えるライン川の水位低下で欧州域内の水運が使えず、稼働率が落ちたことも利益を2億5千万ユーロ押し下げた。
部門別の営業利益では、基礎化学品が20%減の33億6千万ユーロと全体の下落額の半分以上を占めた。特に18年10~12月期は68%の減益だった。ポリウレタンの材料になるイソシアネートの利益率が低下し、ほかの石油化学品も低迷した。
一方、18年通期の高性能製品部門と機能性材料部門はそれぞれ11%、20%の減益だった。独バイエルから野菜種子事業などを買収した農業部門は42%減。買収完了が18年8月で、種子の売り上げの多い年前半を過ぎていたためだ。
地域別の営業利益は、欧州、北米、アジア・大洋州の主要3地域すべてで2ケタ減だった。
19年12月期の業績見通しは、売上高と特殊要因を除く営業利益がそれぞれ前の期をやや上回ると予想する。前提として19年の世界の化学品生産量は2.7%増えるとみている。中国経済の急回復は見込めないが、ブラジルの回復が続くと予想する。
ブルーダーミュラー社長は19年について「極めて不確実な要素が多く難しい1年になるが、利益率向上を目指す。移行の年として使う」と述べた。管理部門の1万4千人を各事業部に配置転換し、営業力を高める組織改革に着手した。