モルドバ総選挙、「親欧米」政党が政権維持か

2019/2/26 16:29
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ウクライナとルーマニアに挟まれる小国モルドバの総選挙は、汚職を糾弾される与党・民主党が第2党の座を確保し、多数派工作により政権を維持する可能性が高まった。与党は欧米とロシアの勢力争いを利用し、「親欧米」を標榜しながら金権政治による支配を進めており、選挙でも多くの不正が報告された。欧米は支援を巡ってジレンマに陥っている。

24日に行われた投開票では、ロシアとの関係強化を主張する野党社会党が101議席中34議席でトップ。比例代表で3位だった民主党は小選挙区で議席を増やし、30議席を確保した。与党の汚職を糾弾する親欧・改革派連合「ACUM」が27議席で続く。民主党が過半数の獲得に向けて各党の議員の取り込みを図ると見られている。

選挙では公務員に対する圧力や票買収の疑いが浮上した。親ロ派勢力が分離独立を主張して実効支配する東部・沿ドニエストル地方の住民も組織的に投票に動員された。ACUMを率いるサンドゥ氏は「自由でも民主的な選挙とも認められない」と批判を強めた。

背景には最大財閥出身のプラホトニュク民主党党首による司法や治安機関への支配が強まり、汚職が横行しているとの見方がある。15年には金融機関から国内総生産(GDP)の1割に当たる10億ドル(1100億円)が消える事件が起きた。

改革派候補が勝利した首都キシナウの18年の市長選は無効にされ、反政府デモが広がった。これを受けて欧州連合(EU)は同国への金融支援を停止した経緯がある。

欧州は今回の選挙を支援再開に向けたテストと位置付けていた。選挙監視団を派遣した欧州安保協力機構(OSCE)は不正疑惑を指摘しながらも「競争があり、基本的な権利はおおむね尊重された」と評価した。モルドバはウクライナやジョージアとともにEUと連合協定を結ぶ。ロシアがウクライナに侵攻し、モルドバの安定は欧州にとって安全保障の問題となっている面もある。

政治腐敗と経済停滞によりモルドバでは市民の海外流出が続き、これまでに人口の3割が失われたとされる。若い有権者からは「投票しても何も変わらない」といった声が聞かれる。25歳までの有権者が投票全体に占める割合は10%に満たなかった。91年の独立直後に首相を務めたワレリー・モラブスキー氏は「国は存亡の危機にある」との懸念を強めている。

(キシナウ=古川英治)

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