GE、バイオ医薬事業を売却 2.3兆円で米ダナハーに
【ニューヨーク=中山修志】米ゼネラル・エレクトリック(GE)は25日、バイオ医薬の検査機器などの事業を産業機械大手の米ダナハーに売却すると発表した。売却額は214億ドル(約2兆3600億円)。GEは電力事業などで巨額損失が発生しており事業リストラが急務だ。売却で得た資金を使って財務の立て直しを進める。

GEのバイオ医薬事業はヘルスケア部門の一部で、バイオ医薬の研究開発や検査のための機器や消耗品の販売を手掛ける。同分野では世界大手で、2018年12月期の売上高は約30億ドルだった。
GEのラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)は「売却によって事業領域を適正に絞り込み、負債の圧縮と財務強化を進める」とコメントした。19年末までに売却を完了する計画だ。カルプ氏はダナハー出身で、古巣に事業を売却する格好だ。18年10月にGEのCEOに就任して以来、最大の事業譲渡となる。
GEは過去に手掛けた金融事業の損失に加え、18年7~9月期に主力の電力事業でも2兆円を超える減損損失が発生した。財務体質の改善は待ったなしの状況だ。
昨年12月にデジタル部門のソフトウエア会社の売却を決めたほか、電力部門で1万人の人員削減に着手。今月に入ってマサチューセッツ州ボストンで予定していた本社ビルの建設計画も撤回した。電力部門も一部を売却するのではないかとの観測がある。
今回売却するバイオ医薬事業が含まれるヘルスケア部門も、会社分割と株式上場を通じた売却方針が決まっている。バイオ医薬切り離し後の同部門の売上高は、医療機器を中心に170億ドル程度となる見通しだ。
買い手となるダナハーは、主力の産業機械以外に食品や医薬品などのライフサイエンス事業を拡大している。GEのバイオ医薬事業を買収して医療分野の業務領域を広げる。GEのカルプCEOは00年から14年までダナハーCEOを務め、積極的なM&Aで売上高を5倍に伸ばした実績をもつ。