2019年7月17日(水)

米国で進むレストラン革命、スタートアップがけん引

コラム(ビジネス)
2019/2/28 15:00
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料理人が腕を振るいスタッフがおもてなしする。こうした労働集約型のイメージが強いレストランの運営を、テクノロジーが変え始めている。従業員のシフト管理、事前オーダーによる顧客体験の進化、スマートな代金決済など、米国では「レストランテック」のスタートアップが続々と登場し、現場改革をけん引している。

「Early Stage 米国発 」では、米サンフランシスコに拠点を置く有力ベンチャーキャピタルのScrum Venturesの協力を得て米国の最新事情と注目スタートアップ企業の姿に迫ります。随時掲載。

■Toast ~POSで運営効率化

元米国副大統領のアルゴア氏が代表を務めるGeneration Investment Managementが出資するToastは、レストラン業界に特化したオールインワンのクラウドオペレーションシステムを提供している。

Toastはレストラン運営のオールインワンシステムを提供する

Toastはレストラン運営のオールインワンシステムを提供する

POS(販売時点情報管理)を中心に、オーダー受注や在庫管理、従業員の勤務管理、ロイヤルティープログラムの運営等、レストランを経営するにあたって必要な業務を一括管理してくれる。クラウドベースで機能を提供することで導入コストおよび手間を軽減、システム活用の促進を狙う。

米国49州のレストランで既に導入され、2016年時点で導入顧客数は100超、取引高は20億ドルを超える。17年に米誌フォーブスによる世界のトップ100クラウドアプリに選出された。バリュエーション(企業価値の評価金額)は14億ドルで既にユニコーンだ。

■Resy Network~人気レストランに特化

ニューヨークに本社を置くResy Networkは、人気レストランに特化したモバイル予約アプリを展開している。厳選した1000店舗以上の中から、利用者の嗜好にあったレストランのみをキュレーションしてスマートフォン(スマホ)画面などに表示。簡単な操作で予約が取れる。民泊大手のエアビーアンドビーと資本提携しており、同社のアプリからもレストラン予約ができるという。

業容拡大にも積極的で、18年11月にレストラン顧客管理システムを提供するReserve(ニューヨーク)を買収した。Reserveのサービスは、顧客の好みやアレルギーといった情報も管理できるなどの特色があり、既に500以上のレストランで使用されるなど実績に定評がある。

■Allset Technologies ~ランチ事前注文

15年創業でサンフランシスコに本社を置くAllset Technologiesは、レストランの席の予約から注文、支払いまでを事前に済ませることができるアプリを提供している。ランチタイムの待ち時間を最小化したい客、回転率を上げたいレストランの両方から評価を得ている。

Allset Technologiesのアプリを使えば、レストランの席の予約から注文、支払いまでを事前に済ませることができる

Allset Technologiesのアプリを使えば、レストランの席の予約から注文、支払いまでを事前に済ませることができる

利用方法は簡単。アプリを開くと近隣でサービス対応しているレストランが表示される。店を選び、到着時間を入力し、メニューから料理を注文しておけば、到着とほぼ同時に料理が運ばれてくる。支払いもアプリで事前に済ませるため、食べ終えたらすぐに席を立ち店を後にしてもよい。ランチなら滞在時間は30分程度で済むとのこと。

Allsetは客の注文金額の15%をレストランから徴収することで収益を得ており、客の金銭的な負担はない。サンフランシスコ、ニューヨーク、ロサンゼルスなど10都市1700以上のレストランと提携し、毎月2万2000人がこのアプリを通じて注文しているという。

■Ritual ~隣人にピックアップ依頼

14年創業でトロントに本社を置くRitualもランチやコーヒーなどを事前にオーダーできるアプリを展開するが、特筆すべきなのはPiggybackというソーシャル機能があることだ。忙しくてオフィスから出られないといった場合、アプリを通じて同じビルで手が空いている人といった「隣人」にピックアップをお願いできる。

ピックアップを引き受けた人は、ディスカウントやフリードリンクなどに使えるポイントがもらえる。18年6月時点で2500以上のレストラン・カフェが登録されている。

■Spacious Technologies ~空き時間に空間シェア

シリコンバレーにあるバー「Press Club」はSpacious Technologiesのサービスを活用して、営業前の日中、外部にワークスペースとして貸し出している。

シリコンバレーにあるバー「Press Club」はSpacious Technologiesのサービスを活用して、営業前の日中、外部にワークスペースとして貸し出している。

16年創業でニューヨークに本社を置くSpacious Technologiesは、レストランの一部時間帯を仕事や会議ができる共同利用場所(コワーキングスペース)として貸し出すサービスを展開している。

ディナーのみ営業している店の昼間の時間帯、料理の仕込みの時間帯などを想定。レストランには、スペースを開放できる時間帯を登録してもらうとともに、Wi-Fiとコーヒー飲み放題の環境を用意してもらう。一方、利用客は月額199ドルか日額20ドルで、これらのスペースを利用できる。

■日本では……

日本では主に人材不足、労働力不足の観点からスタートアップを含むレストランテックの活用を模索する動きが広がっている。

「1億総グルメ」と言われた時代もあったが、リーマン・ショックで痛手を被り、地方の有名レストラン、老舗店などで料理人が解雇されて、技能や味の伝承が途切れるリスクが大きくなっている。フレンチの巨匠、三国清三シェフは昨年からMOOC(大規模公開オンライン講座)で料理のノウハウを公開しているが、これもテックの力で料理界の衰退を防ごうという試みだ。

テーマパーク「ハウステンボス」では、コネクテッドロボティクス(東京都小金井市、沢登哲也社長)が開発した「たこ焼き調理ロボットシステム」や「ソフトクリーム提供システム」が活躍。店舗運営スタッフの不足を補っている。

料理の宅配など労働力不足が顕著な分野では大手企業が動く。ゼンショーホールディングス(HD)は牛丼店「すき家」の一部で、米ウーバーテクノロジーズが展開する「ウーバーイーツ」に対応した宅配サービスを始めた。

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