ロシュ、4700億円で米社買収 遺伝子治療薬を強化
【フランクフルト=深尾幸生】スイス製薬大手ロシュは25日、遺伝子治療薬を手がける米スパーク・セラピューティクスを買収することで合意したと発表した。買収額は43億ドル(約4750億円)。ロシュはスパークの買収によって、有望な分野として開発が加速する遺伝子治療薬を強化する。特に血友病の分野に力を入れる。
スパークは2013年設立で本社は米フィラデルフィア。米ナスダック市場に上場している。18年12月期の売上高は6470万ドル、最終損益は7880万ドルの赤字だった。買収後も独立した企業として事業を続ける。
ロシュはTOB(株式公開買い付け)を通じて19年4~6月に買収を完了したい考えだ。1株当たりの取得価格は114.5ドルと、22日の終値の約2.2倍に設定した。
遺伝子治療はこれまで治療できなかった病気に使えるほか、効果が長く続くと期待される。課題だった安全性も向上し、欧米や中国で開発が加速している。
スパークは遺伝子治療薬の研究開発に特化し、血友病や先天性眼疾患に取り組んでいる。血友病では有望な治療薬候補を開発し、米ファイザーと提携した。眼科領域では17年に米国初となる遺伝子治療薬「ラクスターナ」の承認を得た。ラクスターナは希少な目の遺伝病に対する治療薬で85万ドルの薬価設定も話題となった。
ロシュのセヴリン・シュヴァン最高経営責任者(CEO)は声明で「遺伝子治療におけるスパークの知見によって重い疾病の治療に重要かつ新たな道が開ける。とくに血友病のプログラムは病を抱えて生活している人々に新しい選択肢を与えられる」と述べた。