ロシア語からの初訳含むナボコフ選集、全5巻そろう

文化往来
2019/2/28 6:00
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中年男性の少女への愛を描いた「ロリータ」でスキャンダラスな名声を獲得した作家のウラジーミル・ナボコフ(1899~1977年)。ロシア語と英語を自由に使いこなした「言葉の魔術師」だけに、全体像はつかみにくい。3月に最終の第5巻を刊行予定の「ナボコフ・コレクション」(新潮社)は、ロシア語原典からの初訳を数多く含み、20世紀を代表する作家の実像に迫ることを目指してきた。

第1巻の「マーシェンカ キング、クイーン、ジャック」と第2巻「処刑への誘い 戯曲 事件 ワルツの発明」

第1巻の「マーシェンカ キング、クイーン、ジャック」と第2巻「処刑への誘い 戯曲 事件 ワルツの発明」

第1巻は「マーシェンカ」(奈倉有里訳)と「キング、クイーン、ジャック」(諫早勇一訳)という独ベルリン在住時にロシア語で書いた作品を収めた。ロシア語原典からの邦訳は初めて。第2巻には同じくロシア語からの初邦訳となる「処刑への誘い」(小西昌隆訳)のほか初邦訳の戯曲2編(沼野充義・毛利公美訳)を収めた。「賜物」(沼野訳)と「父の蝶」(小西訳)を収めた第3巻、「ルージン・ディフェンス」(杉本一直訳)と「密偵」(秋草俊一郎訳)を収めた第4巻まで刊行済み。近く刊行の「ロリータ」(若島正訳)、「魅惑者」(後藤篤訳)を収録する第5巻で完結する。

2017年11月には刊行のスタートを記念して、監修者の一人でスラブ文学者の沼野氏と、日本語とドイツ語で創作をしている作家、多和田葉子氏の対談が東京都内で開かれた。多和田氏は「移民作家が言葉遊びに執着するのは面白い。私もベルリンに住んでいると、様々な言葉が聞こえるし、様々な文字が目に入る」と述べ、それが近作「百年の散歩」につながったと明かした。

(中野稔)

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