2019年8月19日(月)

性犯罪被害、初の研修資料 国会決議受け最高裁作成

2019/2/25 9:38
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性犯罪被害への理解を深めようと、最高裁が精神科医の講演録や裁判官との質疑応答をまとめた研修資料を初めて作成し、全国の裁判所に配布したことが、分かった。被害者の心理を十分理解していない判決があるとの指摘もあり、性犯罪を厳罰化する改正刑法の成立に伴う国会の付帯決議は、心理学の知見を踏まえた裁判官らへの研修を求めていた。

強制性交罪は加害者による「暴行や脅迫」がなければ成立しない。被害者側は「恐怖から反射的に動けなくなることが多いのに、抵抗しなかったのは暴行、脅迫がなかったためだと認定する判決がある」として、被害者の心理を理解していないと訴えている。刑法改正の議論では暴行・脅迫要件の削除も議題になったものの、最終的に見送られた。

最高裁によると、研修資料は、性犯罪被害者のケアに取り組む精神科医の小西聖子・武蔵野大教授ら専門家が2017年、司法研修所の刑事実務研究会で講演した内容がメインで、200ページを超える。

小西教授は講演で、多くのケースで自分より体の大きい加害者に直面すると、被害者は恐怖で体が凍り付くと強調。強いショックから感情や感覚がまひし、被害状況を記憶できないケースもあるとした。

さらに多くの被害者が心的外傷後ストレス障害(PTSD)になり、裁判で「なぜ抵抗しなかったのか」と問われるのに苦痛を感じたり、拒めなかった自分が悪いと自責の念を抱いたりして、警察に被害を申告しない事例が多数あると説明した。

資料には裁判官との質疑応答も掲載。被害者が傷つくのを防ぐにはどうすればいいかとの質問に、臨床心理士は「被害者は法廷に立つだけでも相当なエネルギーを使う。心情を理解したということを判決で示してもらいたい」と答えた。

最高裁は昨年、全国の地、高裁と家裁に計約850部を配布。小西教授は取材に「裁く側の無知は許されない。全ての裁判官に資料を活用してほしい」と話した。〔共同〕

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