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バフェット氏投資会社、最終赤字2.7兆円 株安など響く

10~12月

【ニューヨーク=宮本岳則】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイが23日発表した2018年10~12月期決算は、最終損益が253億ドル(約2兆7830億円)の赤字に転落した。前年同期は325億ドルの黒字だった。買収先の米食品大手クラフト・ハインツで減損損失が発生したほか、相場下落で保有する上場企業株に評価損が発生した。

米会計基準では上場株の含み損益を損益計算書に反映する必要がある。バークシャーは投資目的で米アップルや米コカ・コーラなど上場株を1727億ドル(18年12月末)保有するため、最終損益が相場環境によってぶれやすい。18年10~12月期は景気減速懸念で米国株相場が急落した影響を受けた。保険や鉄道、エネルギー関連など傘下の事業会社の動向を映す営業利益は57億ドルとなり、前年同期に比べて71%増えた。

最終赤字転落は相場環境の悪化に加え、過去の買収先の不振が響いた。バークシャーが発行済み株式数の27%を保有する米食品大手クラフト・ハインツは18年10~12月期決算で、チーズなどのブランドとして知られる「クラフト」の商標など一部無形資産で減損処理を迫られた。バークシャーも同10~12月期に保有株の減損損失として30億ドルを計上し、主にクラフトによるものと説明した。

バフェット氏は近年、事業会社の大型M&A(合併・買収)を強く志向しており、米クラフト・ハインツはその象徴的な案件だった。ブラジルの投資会社3Gキャピタルと組み、13年に米食品HJハインツを約230億ドルで買収。両社は15年に傘下のハインツと米同業クラフト・フーズ・グループを合併に導いた。3Gキャピタル主導でコスト削減が進んでいたが、売上高の成長力に陰りが出ており、今回の減損につながったと見られる。

バフェット氏はそれでもなお大型買収に意欲をみせる。23日の決算発表と同時に発表した「株主への手紙」の中で、1120億ドル(約12兆円)の現金・同等物の使い道について「バークシャーが永久保有できる事業に投資する」と改めて表明。18年に大型M&Aが無かったことについて「買収価格がとてつもなく高かった」と釈明した。その上で19年は「引き続き巨額(エレファント・サイズ)の買収案件を望んでいる」と述べた。

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バフェット氏

著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米バークシャー・ハザウェイの投資動向や解説、同氏に学ぶ投資術に関する記事をまとめました。

ウォーレン・バフェット氏(Warren Buffett) 1930年、米中西部ネブラスカ州のオマハに生まれる。6歳からガムを売り歩き、11歳で株式投資を始めた。「割安株投資の父」ベンジャミン・グレアム氏に感化されて投資家の道を志す。1965年に繊維会社だったバークシャー・ハザウェイの経営権を握り、同社を母体に投資や事業投資を展開して財を築いた。優良銘柄を本質的価値より低い価格で買う投資スタイルで知られ、「オマハの賢人」との異名を持つ。大富豪ながら質素な生活で知られ、コーラとハンバーガーを好む。

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