2019年3月21日(木)

米中、首脳合意へ詰め急ぐ 関税上げ先送り検討
構造問題でなお溝 部分合意先行も

米中衝突
中国・台湾
北米
2019/2/23 18:31
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【ワシントン=河浪武史】米中両国は22日、同日までの予定だった閣僚級の貿易協議を2日間延長し、週末も交渉を続けることを決めた。両国は貿易不均衡や人民元安の解消で一部合意にこぎつけ、トランプ米大統領は3月2日からの関税引き上げを1カ月程度猶予することを検討。習近平(シー・ジンピン)国家主席との3月中の首脳合意を目指し、中国の産業政策の見直しなど残る課題の詰めを急ぐ。

「取引が成立する公算が大きい。協議が十分に進展すれば、関税を10%で据え置くのは不適切なことではない」

トランプ氏は22日、ホワイトハウスの執務室で劉鶴・中国副首相らを前に閣僚協議の進展に自信を示した。トランプ氏は交渉が不調に終われば2千億ドル分の中国製品の関税を10%から25%に引き上げるとしていたが、協議の進展を理由に関税引き上げを猶予できるとの立場を示した。

トランプ氏は期限延長は1カ月程度を想定しており、その間に交渉を続けて最終的には3月中に習氏と直接協議して決着を目指す考えだ。2日間延長する週末の閣僚級協議でも決定的な亀裂が生じなければ、関税引き上げによる貿易戦争の激化はひとまず避けられそうだ。

2018年12月の首脳会談以降、米中が閣僚級協議を開くのは3回目だ。21~22日の協議の合意内容は発表されていないが「非常に重要な案件で進展があった」(トランプ氏)という。一つが貿易不均衡の解消だ。

米国の対中貿易赤字は年3800億ドル。トランプ政権は2年で赤字額を2千億ドル分減らすよう強硬に求めてきた。中国は米国からの輸入を6年で1兆ドル規模増やす貿易促進策を提示。大豆や液化天然ガス(LNG)、半導体など具体品目ごとに輸入増の数値目標で合意したもようだ。

ムニューシン財務長官は22日、記者団に「為替問題を巡っても最終合意に達した」と明言した。トランプ氏は大統領選で「中国を為替操作国に指定する」と訴えるなど、人民元相場に目を光らせてきた。米国は18年7月に中国への制裁関税を発動したが、人民元安が加速して高関税の影響が薄れた。ムニューシン氏は為替問題を貿易交渉のテーマに取り上げ、中国の人民元安誘導を封じる合意を取り付けた。

隔たりが大きかった中国での知的財産権保護策などの構造問題を巡っても一定の前進があったもようだ。米国は知財保護やサービス分野の市場開放など142項目の要求を中国に突き付けていた。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は「中国の技術移転の強要などでも解決策で進展があった」と指摘した。

残る課題は絞られつつあるが、解決の難易度は高い。例えば習政権のハイテク産業育成策「中国製造2025計画」。人工知能(AI)などの次世代産業に補助金を集中投下して世界シェアを高める中国勢に、米国は「世界貿易機関(WTO)ルール違反だ」と厳しく批判。技術覇権争いでも危機感を強める。

しかし、補助金政策は中国が成長モデルと自負する国家資本主義の根幹でもあり「撤廃には応じていない」(米中交渉筋)という。米国は市場独占など国有企業の改革も求めているが、共産党の手足となる国有企業の改革は一党支配を揺さぶりかねない。

米政権は合意内容を履行しているか監視する仕組みづくりも求める。合意内容が実行されなければ関税を再び引き上げる「罰則」の導入を要求するが、中国側は反対しているもようだ。

「華為技術(ファーウェイ)を貿易交渉の材料にするかもしれないし、しないかもしれない」。トランプ氏は22日、劉副首相を前に、中国通信機器最大手、ファーウェイに言及した。米当局は同社を企業秘密の窃取などで起訴。あらゆるカードでディールを狙うトランプ氏は最後まで揺さぶりを弱めない方針だ。

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