2019年7月21日(日)

球場が呼んでいる(田尾安志)

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首脳陣・フロントが押さえたい大物新人のトリセツ

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2019/2/24 6:30
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中日の松坂大輔がファンとの接触で右肩を痛めて、沖縄・北谷の1軍キャンプから離脱した。全盛期をとうに過ぎたとはいえ、集客力は今も「怪物」級。松坂がいなくなり、お客さんは北谷を訪れる楽しみが一つ減った。

こういうときに球団が考えるのが、新たな集客の柱を立てること。今の中日で誰が松坂に次ぐ柱になり得るかと考えて、真っ先に思い浮かぶのはドラフト1位ルーキーの根尾昂(大阪桐蔭高)だろう。

集まったファンにサインする中日・松坂。その集客力はなお「怪物」級だったが…=共同

集まったファンにサインする中日・松坂。その集客力はなお「怪物」級だったが…=共同

沖縄・読谷の2軍キャンプにあれだけの数のお客さんを呼ぶのだから、根尾のスター性はなかなかのもの。1月に肉離れした右ふくらはぎのリハビリが長引いているようだが、仮に状態が良くなったとして、松坂がいなくなった1軍に根尾が昇格すれば読谷のお客さんをごっそり引き連れてくるわけで、再び北谷が活況を呈することになる。

だが、そうした皮算用は根尾のためにならない。高校時代に投手と野手の二刀流で鳴らしただけあって、バランスの良さは光る。ただ、体が細く、まだパワーが足りない。手先の器用さでバットを出すところがあるのも気になる。プロでは野手一本、正遊撃手を目指してやっていくというが、現時点では京田陽太に勝つだけの力はない。1軍に上がれば、今にも増して多くのファンの視線を集めることになる。体も形もできあがっていない段階で過度な期待をかけられても、重荷になるだけだ。そこで結果が伴わなければ、実力主義で勝負している他の選手が根尾や首脳陣をいぶかることになる。

未完成の選手の重用は危険

私自身がそういう経験をしてきた。阪神時代の1988年、就任したばかりの村山実監督はオープン戦からよく若手を使った。特に出番を与えたのが和田豊、大野久、中野佐資の3人で、皆、身長が170センチ近辺だったことから「少年隊」と名付けられた。和田は後にものになったが、大野と中野には負ける気がしなかった。

そうやって未完成の選手を重用したから、オープン戦の成績は散々だった。中堅やベテランの間に不満がたまり、裏方の人たちまでもが「何でこんな選手ばかり使うんだ」と言い出すありさまだった。

オープン戦の終盤、東京での試合前のことだった。ミーティングで監督が「何とかこの苦境を打開したい」と、ベテランに意見を求めた。最初に指名された掛布雅之は「監督の考えが選手に伝わりにくい感じがします」と話した。新聞を通じてしか監督の考えを知ることがない状況を憂えたものだった。次に柏原純一さんが「ベテランでも、悪かったら叱ってください」と言った。3番目に意見を求められた私は「勝つための野球をしてほしいです」と答えた。場が静まりかえった。

その前の年のファン感謝デーで、指揮を執ることが決まったばかりの村山監督は「今、チームは過渡期なので……」とあいさつし、若手を重点的に使っていく方針を示した。私たちベテランには「若いのを育てている最中だから、負けても我慢してくださいね」と言っているように聞こえた。Aクラス入りの可能性がなくなった公式戦の終盤なら、次のシーズンを見据えて若手を試すことはあり得る。だが、各球団がよーいどんで優勝を目指そうという段階から実力が伴わない選手を使うのは筋違いで、ファンにも失礼だ。その思いを「勝つための野球を……」という言葉に込めた。

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