2019年8月25日(日)

球場が呼んでいる(田尾安志)

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首脳陣・フロントが押さえたい大物新人のトリセツ

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2019/2/24 6:30
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この発言がかんに障ったのか、それから監督は私をあまり使ってくれなくなった。「無礼講だ」というので思いを素直に言ったまでだったのだが……。ベテランで真っ先に2軍に行かされ、「このまま1軍に上げないつもりではないか」と感じた。当時まだ34歳。そのまま不本意な形で引退に追い込まれてはたまったものではない。「村山さんの間は絶対にクビにはなるまい」と、2軍で必死に頑張った。

練習の合間に荒木2軍内野守備走塁コーチ(右)と話す中日・根尾。過度な期待は本人にも重荷になる=共同

練習の合間に荒木2軍内野守備走塁コーチ(右)と話す中日・根尾。過度な期待は本人にも重荷になる=共同

やっとの思いで1軍復帰を果たすと、その年だけで3本のサヨナラ本塁打をマーク。引退を免れ、監督が中村勝広さんに代わって2年目の91年までユニホームを着ることができた。反骨のエネルギーを胸に37歳までプレーできたことを思えば、村山さんに感謝すべきかもしれない。

実力が伴っていない状況で、人気に頼って若手を使えばチームに不協和音が生じかねない。私が85年から2年間在籍した西武にその手の不穏なムードが漂うことがなかったのは、広岡達朗監督が実力至上主義を徹底していたから。だからこそ、他チームの追随を許さない黄金時代を築くことができた。

高校時代の根尾と同じく、同志社大で投手にも取り組んだ私は中日入りした76年、すぐに1軍デビューを果たした。だが、代打で時折打席に立つような起用では伸びないと思い、自ら2軍行きを志願した。2軍で守備や走塁など野手としてのレベルの向上に努めた結果、1軍に戻ると出場機会がぐんと増え、規定打席に達しないながらも打率2割7分7厘で新人王を受賞した。

目先の集客より実力で判断を

2軍とはいえ、しっかり練習し、試合にたくさん出たことがよかった。その日々がなく、1軍で代打で少し出るという、中ぶらりんの状態が続いていたらどうなっていたか。けがで2軍キャンプからのスタートとなった根尾も、じっくり体をつくれる点ではむしろよかったという見方もできる。

高校出の1年目で1軍のレギュラーポジションを取るケースはまれだ。レギュラーをつかんだとしても、いい成績を残すことは難しい。やはりゴールデンルーキーとしてPL学園高から中日に入った立浪和義も、1年目の打率は2割2分3厘だった。

40歳までプレーすることを視野に入れれば、根尾はまだ18歳。焦らず、有意義に一日一日を過ごしてもらいたい。フロントや首脳陣は選手のことを第一に考え、特に監督やコーチは人気面の旬ではなく、実力的に旬の選手を使うようにしてほしい。そして、新人の取り扱いは慎重に。目先の集客効果に心を奪われず、どっしり構える姿勢が選手を育てる。

(野球評論家)

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