2019年8月20日(火)

ヤマトHDトップ交代、グループの統治が課題

2019/2/21 19:01
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ヤマトホールディングス(HD)は21日、取締役で傘下のヤマト運輸社長の長尾裕氏(53)が4月1日付で社長に昇格すると発表した。山内雅喜社長(58)は代表権のない会長に就く。宅配便の値上げ効果で業績が回復し、抑制してきた荷物量も増加に転じた。新体制で攻勢に出るが、一部子会社で不祥事も起きており、グループの統治が課題となる。

ヤマトホールディングスの社長に就任するヤマト運輸の長尾裕社長(左)とヤマトホールディングス次期会長の山内雅喜社長(21日午後、東証)

ヤマトホールディングスの社長に就任するヤマト運輸の長尾裕社長(左)とヤマトホールディングス次期会長の山内雅喜社長(21日午後、東証)

社長交代の狙いについて、現社長の山内氏は「2019年はヤマトグループが100周年を迎え次の中期経営計画を策定するタイミング。成長スピードを上げるために確実につなげたい」と説明。新社長の長尾氏を「現場に近く、ヤマトのDNAをしっかり受け継いでくれる」とし、「既存の考えにとらわれず新しい発想でチャレンジする実行力がある」と評価した。

実際、山内氏と長尾氏は15年にそれぞれHD社長、運輸社長に就任し二人三脚でグループ経営をリードしてきた。人事畑や経営企画畑が長い山内氏を、営業畑を歩んできた長尾氏がサポート。17年には値上げを通じた宅配便の総量抑制と働き方改革などに踏み切った。

現場をよく知る長尾氏が山内氏を支えてきたのは確かだ。だが、山内体制のもとでは、21万人規模に成長したグループ経営の不備も表面化した。従業員への未払い残業代の問題、そして昨年発覚した引っ越し子会社ヤマトホームコンビニエンス(YHC、東京・中央)の代金過大請求問題だ。

YHCの問題では1月に国土交通省から行政処分や事業改善命令を受け、全面停止している受注の再開時期も明確に示せないままだ。山内氏は「ご迷惑やご心配をおかけしたことは確かで真摯に受け止めているが、それらのことがあったからということではない」と引責辞任を否定した。

ただ、ヤマトの社長定年の内規である63歳より5年も前にしての交代。53歳とより若い長尾氏には、ガバナンスの立て直し、宅配便に売上高の7割強を依存する収益構造からの脱却、苦戦が続く海外事業の拡大など、多くの課題がのしかかる。

安定的なサービスを維持するため、労働環境の改善も引き続き求められる。夕方からの宅配に特化した配達員「アンカーキャスト」は「3月末でおよそ5千人」(長尾氏)に達するが、20年3月末までの目標、1万人の半数にとどまる。現場への導入を慎重に進めた結果と説明するが、労働集約型の現場の省人化や自動化も含め、改革のスピードアップが急務だ。

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