熊本空港に鉄道新線、県とJR 2カ月で合意 - 日本経済新聞
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熊本空港に鉄道新線、県とJR 2カ月で合意

熊本県は21日、熊本空港とJR豊肥線をつなぐ鉄道新線の整備費のうち、最大3分の1をJR九州が負担することなどでJRと合意したと発表した。現在はバスが主要なアクセス手段となっている同空港の交通利便性を高め、経済波及効果を広げる。2019年度に詳細な調査を行い、23年の空港新ビルの完成からできるだけ期間をあけずに完成させる。

鉄道新線はJR豊肥線の三里木駅から空港までの約10キロメートルを高架を主に一部トンネルでつなぐ。熊本県が中心となって設立する第三セクターが鉄路や車両を整備して所有する。JR九州は第三セクターには出資しない。運行を受託し、既存路線の増収効果の一部を第三セクターに支出する。整備費の総額は380億円前後を見込んでいる。

JR九州は新線とつながるJR豊肥線の利用者増といった「根元受益」が見込めるため、その一部を整備費用の負担に充てる。アクセス向上による空港自体の利用者増加効果や、九州を周遊するインバウンド(訪日外国人)客の増加効果といった「詳細は精査が必要」(JR九州幹部)とするが、一定の効果が見込めることから整備費の3分の1を上限とする費用負担に応じた。

空港への鉄道整備で民間からの資金協力を実現させるのは珍しい。熊本県はさらに国から最大限の助成を得るよう働きかける。鉄道新線の建設によって豊肥線に設備改修費用などが生じる場合は協議のうえ熊本県が負担する。JR九州は熊本県に運行データを提供し、技術などを助言する。

肥後大津駅など豊肥線利用者の利便性を維持するため、空港への直通乗り入れは当面は行わない。途中にある大規模スポーツ施設、県民総合運動公園の近くに新駅を設ける。現在は熊本空港からJR熊本駅までリムジンバスで通常60~90分程度かかっているのを最短約38分まで短縮できる。

熊本県が新線建設構想を18年12月に打ち出してから、2カ月強でJR九州との合意に至った。熊本空港が20年4月に民営化して新ビルの建設が進むのを受け、鉄道新線の建設を急ぐ。交渉を進める中で「JR九州が急ぐ思いをくんでくれた」(熊本県)という。熊本県は、熊本空港の利用客数が新線開業初年度に約450万人と、17年度より35%増えると見込んでいる。

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