2019年6月18日(火)

印自動車部品首位「EV普及、チャンス広がる」

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2019/2/22 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

インドのサンバルダナ・マザーソン・グループのビベク・チャーンド・セーガル会長は東京で日本経済新聞社のインタビューに応じ、同国での電気自動車(EV)の普及は「時間がかかる」との見通しを示した。マザーソンは印最大の自動車部品メーカーを傘下に持つ。EV普及を目指す印政府の政策に対し「それ以前に貧困問題の解決などに取り組むべきだ」とも述べた。

マザーソンのビベク・チャーンド・セーガル会長

マザーソンのビベク・チャーンド・セーガル会長

セーガル会長との主なやり取りは以下の通り。

――「2030年に完全移行」とした目標は下方修正しましたが、インド政府は今後5~10年でEVを急速に普及させたい意向です。

「インド政府が排ガスなど環境問題に焦点をあて始めたこと自体は良いことだ。だが、急速に普及させようという目標が実現可能なのかどうか、簡単には判断できない」

「世界的にみても環境対応の解決策がEVなのかはまだわからない。日本や中東のような国は、EVの充電のための巨大なインフラを整える資金を拠出できるだろう。だが、インドはそこまで資金を投じられるのか。国民の衣食住を満たす貧困問題の解決は喫緊の課題だし、原子力発電など電力の供給体制も途上だ。短期的にはハイブリッド車(HV)の方が普及しやすいと思う」

――中長期ではEVの生産・販売台数は増えると考えられます。部品メーカーとしての事業戦略にどう影響しますか。

「EV専門の分野で革新的な新規技術を開発しようとするメーカーも多いが、私たちは違う。あくまでワイヤハーネスやバックミラー、プラスチック部品など既存のクルマの構成部品に磨きをかける技術で普及を後押ししたい。例えば、軽量化だ。EVになっても『クルマを軽く丈夫に』というニーズは変わらない」

「EVだけではない。コネクテッドカーや自動運転の分野についても同様だ。私たちが自前で人工知能(AI)のシステム開発を担う必要はない。目新しい技術だけが『ハイテクノロジー』ではない。車内空間があったり座席があったり、クルマがクルマである限り、私たちのビジネスはなくならない」

――欧米企業などに対するM&A(合併・買収)を成長の原動力としてきました。今後のM&A戦略は。

「傘下の自動車部品会社、マザーソン・スミ・システムズの連結売上高を2020年までに足元の2倍の180億ドル(約2兆円)に増やす目標を掲げている。規模の拡大以上に重視しているのは収益構造だ。(自己資本や有利子負債など利用したあらゆる資本に対し、どれだけ利益を上げられたかを示す)使用総資本利益率(ROCE)を足元の20%台から40%に高めたい」

「M&Aについては、驚くかもしれないが、自社であらかじめ策定する『戦略』は持っていない。これまで、取引がある自動車メーカーを支援する買収を実行してきたからだ。サプライチェーンを維持・強化したい自動車メーカーから『買収して企業体質を変えてほしい』と特定企業の買収の要請を受けることが多い。いま、世界のほとんどの主要自動車メーカーと取引がある。顧客である自動車メーカーと一緒になって問題を解決するかたちのM&Aを今後も実行していく」

サンバルダナ・マザーソン・グループ 連結売上高1兆円超とインド最大の自動車部品メーカーであるマザーソン・スミ・システムズを傘下に抱える。2002年から欧米など21社を買収し、自動車ビジネスを拡大してきた。グループ創業は1975年で、ビベク・チャーンド・セーガル会長は創業者。日本の自動車メーカーとも取引が厚く、セーガル会長は「日本通」で知られる。

(企業報道部 堀田隆文)

[日経産業新聞 2019年2月21日付]

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