2019年5月25日(土)

レノボ、「落ち穂拾い」経営で黒字転換
新たな収益源は遠く

2019/2/21 20:00
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パソコン世界最大手のレノボ・グループがM&A(合併・買収)や出資による「落ち穂拾い」経営で収益力を回復させている。21日発表した2018年10~12月期連結決算は、最終損益が黒字転換した。富士通とパソコン事業を統合するなど、パソコン市場でシェアを積み重ね、安定収益を確保した。不振だったモバイル事業が黒字転換した影響も大きかった。

レノボ製品を売る北京市の店舗

レノボ製品を売る北京市の店舗

「グローバルテクノロジー企業として業界の地位を固めて、さらに強くなっていく」。楊元慶会長兼最高経営責任者(CEO)は決算発表でこうコメントした。14年に米グーグルから「モトローラ」を買収後、陥っていた収益悪化のトンネルから抜け出し、自信を取り戻した。

最終損益は2億3300万ドル(約260億円)の黒字だった。同社が収益力の目安としている税引き前利益は過去最高を更新し、営業利益は前年同期比2倍だった。決算を好感し、21日の香港取引所でレノボ株は前日比12%近く上昇した。

収益改善の主因は堅調なパソコン事業だ。米IDCによると、レノボの世界パソコン出荷台数シェアは24.6%(18年10~12月期)。17年に米HPに奪われたトップの座を18年7~9月期に取り戻し、その座を固めることに成功した。

IDCによると、18年のパソコン世界出荷台数は17年比0.4%減で、20年まで同様の傾向が続く見通し。急成長の反動が激しいスマートフォン(スマホ)市場(4%減)に比べると、市場縮小のスピードは緩やかだ。レノボのジャンフランコ・ランチ社長兼最高執行責任者もパソコン市場について「前年並みが続く」と予測する。

安定市場での残存者利益を狙って、レノボは買収や出資を続けてきた。12年3月期にNECのパソコン事業と統合し、独メディオンを買収。18年3月期には富士通とのパソコン事業統合を発表。「落ち穂拾いのようにシェアを積み重ねてきた」(中国のパソコン業界に詳しいアナリスト)

世界のパソコン市場は日本勢などの撤退が相次ぎ、レノボとHPの2社で5割近いシェアを握る。中長期的な成長は見込めないが、安定収益源となりつつある。

ランチ社長は「前年並みが続くパソコン事業の中でも成長しているワークステーションやゲーム向けなどに注力すれば成長は持続できる」と指摘する。10~12月期のレノボのパソコン事業の税引き前利益は前年同期比4割増だった。

苦戦が続いていたモバイル事業も黒字転換した。18年10~12月期は「厳しいコスト削減を断行したほか、製品ポートフォリオを見直し、成長できる地域に集中した」(ランチ社長)。「モトローラ」の知名度が高く、ブランド力がある中南米や北米市場の販売に注力し、中南米では出荷台数で2位を獲得。北米では40%増の成長を実現したという。

ただレノボの長年の課題であるパソコン事業以外の収益の柱を育てることは実現できていない。なかでも先行投資が続くのが、スーパーコンピューターなどを含むデータセンター事業だ。売上高は伸びているが、収益化が遅れ、まだ赤字が続く。

人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT時代を迎え、中国では電子商取引(EC)やスマホ決済で覇権を握るアリババ集団や騰訊控股(テンセント)などが圧倒的な力をみせる。

かつて中国を代表するIT(情報技術)企業だったレノボの存在感は小さくなった。外資系の投資会社幹部はモトローラ買収後の4年間について「失われた4年間だった」と指摘する。パソコンが生み出す現金をもとに新たな収益の源泉を生み出すことができるのか、それとも安定したパソコン業界で落ち穂拾いを続けるのか。レノボは改めて長年の課題を突きつけられている。

(北京=多部田俊輔)

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