2019年6月18日(火)

ホンダジェット2連覇、日本参入でセスナかわす

2019/2/21 17:30
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ホンダは21日、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」を世界で37機納入して2年連続の首位になったと発表した。米セスナの競合機「サイテーションM2」(34機)を上回れた1つの要因が18年末の日本での納入開始がある。今後もホンダが世界首位を保つには日本での一層の市場開拓が欠かせない。

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「ホンダジェット」は2018年12月から日本で納入が始まった(12月20日、羽田空港)

「ホンダジェット」は2018年12月から日本で納入が始まった(12月20日、羽田空港)

「18年もトップになれるかはまだ見通せない」。米ホンダエアクラフトカンパニー社長の藤野道格社長は18年12月20日、日本におけるホンダジェット1号機を納入した式典の後、記者団にそう答えていた。念頭にはライバル、セスナの攻勢があった。

ホンダジェットは17年に世界で43機を納入しセスナのM2(39機)を抜き、最大離陸重量が1万2500ポンド(約5670キログラム)以下の「超小型機」で初の首位となった。直後からセスナは値引き攻勢などで巻き返しを強める。藤野氏も「『日本の会社を1位にさせない』と攻勢をかけている」とかねて警戒心を隠さなかった。実際に18年1~9月時点の納入機数はM2が22機と、ホンダジェット(21機)をわずかに上回っていた。

ホンダの追い風となったのが18年12月末の日本での納入開始だった。当初は19年前半の納入予定だったが、型式証明に必要な手続きがスムーズに進んだことで18年内の前倒しが可能になった。

ホンダは18年の納入数37機の詳細を明らかにしていないが、日本では10機以上の受注を抱えていたため、一定の納入機数の増加につながった可能性がある。

ホンダジェットの国内参入を機に日本でビジネスジェットに商機を見いだす動きが広がる。双日は18年7月、ANAホールディングスとチャーター便を運航する「ANAビジネスジェット」を設立した。ANAの国際線で到着地からの乗り継ぎ便や日本から直接海外へのチャーター便を運行。海外の乗り継ぎ便に小回りのきくホンダジェットを活用している。

「定期便では乗り継ぎに数時間待たされるが、すぐに乗れるのがビジネス機の強み」と双日ビジネスジェット事業課の桜井洋平課長は期待する。「日本では『ビジネス機はぜいたく品』との意識が根強かったが、一般の人にも認知されるようになった」とも驚く。

双日は米ボーイングや米ガルフストリーム、カナダのボンバルディアの機体を販売するほか、運航管理契約を結んでいる機体が9機ある。ビジネスジェットへの注目の高まりで早期にアジア最多級となる30機に引き上げて使い勝手を高める。

丸紅日本航空とビジネス機のチャーター手配などをする「JALビジネスアビエーション」を設立し、今春から事業を始める。ホンダジェットを国内で販売しているのも丸紅子会社の「丸紅エアロスペース」だ。

日本でのビジネスジェットの市場拡大には課題も多い。羽田空港ではビジネスジェットの発着枠制限の緩和などを進めているが、定期便も多いため希望の時間に合わない場合は、都心から離れた成田空港など別の空港を使う必要がある。

また海外で一般的なビジネスジェット専用のゲートは、国内では羽田や成田、中部国際空港や関西国際空港しかない。地方空港でもビジネスジェットの離着陸はできるものの、受け入れのノウハウが乏しい。

国土交通省によれば16年末の日本のビジネスジェット保有機数は57機(民間のみ)。1万9千機を超える米国を大きく下回る。それでもホンダが関係者と一体となり、日本の空に新市場をつくることができれば、今後も世界トップを保つ上での大きな力となりそうだ。

【「Mr.ホンダジェットの執念」連載記事】
(1)「飛行機なんて」 ホンダジェット、役員たちの罵倒
(2)真夜中にひらめいた ホンダジェット奇跡の設計図
(3)飛べないホンダジェット 敵はホンダの中にいた
(4)ホンダジェット、エンジン開発者たちのクーデター
(5)「実験は終わった」ホンダジェットが空を埋める日

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