2019年7月21日(日)

三菱重工、最新鋭LNG船の命名式 受注残は少なく

2019/2/21 12:00
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三菱重工業は21日、長崎造船所の香焼(こうやぎ)工場(長崎市)で最新鋭の液化天然ガス(LNG)運搬船の命名式を開いた。同社の造船事業は高度な艤装(ぎそう)技術を求められ、採算性の高いガス船やフェリーなどに経営資源を集中している。最も売り上げ規模の大きいLNG船は2015年12月以降、新規受注がなく、受注残の水位が下がっている。

「MARVEL CRANE(マーベル・クレーン)と命名する」。香焼工場内で開かれた命名式。三井物産の加藤広之顧問が宣言した後で支綱が切断されると祝いのくす玉が花火の打ち上げとともに割られ、場内は拍手で包まれた。

命名されたのは15年1月に三井物産から受注した2隻のLNG船のうちの1隻目。3月に三井物産に引き渡す予定。三井物産が参画する米国のLNG輸出プロジェクト「キャメロン」で使われ、米国から日本などの需要地にLNGを運ぶ。

全長は297.5メートルで横浜ランドマークタワー(高さ296メートル)をほぼ横に倒したような長さにあたる。幅は48.94メートル、船底から甲板までの高さは27.5メートルに達する。

タンクは「リンゴ型」と呼ばれる三菱重工の最新型を搭載する。総容積は約17万7000立方メートルで前世代の「サヤエンドウ型」のタンクと同じ幅のままで容積を14%大きくした。エンジンは蒸気タービンとモーターを活用するハイブリッド式で燃費性能も改善した。

三菱重工の技術を駆使した最新鋭のLNG船だが、足元では新規受注が増えていない。LNG船の受注残は4隻(今回命名された三井物産からの発注の2隻を含む)と水位が低下し、20年にも受注残が尽きる見通し。

液化石油ガス(LPG)船は5隻の受注残があるが、LNG船は1隻当たりの受注額が約200億円規模と大きく、LPG船は100億円未満にとどまる。LNG船の受注減少は経営だけでなく、工場の稼働率にも大きな影響を与える。LNG船の受注残が尽きるのに備えて香焼工場では、橋梁や桟橋など土木構造物を生産できるように営業活動もしている。

三菱重工は大型客船で巨額の赤字を計上した後、造船事業の構造改革を進めてきた。18年1月には商船事業を再編し、下関造船所(山口県下関市)の建造機能を中核とした「三菱造船」と、長崎造船所の造船子会社2社を統合した「三菱重工海洋鉄構」を設立した。

三菱造船はフェリーや官公庁船の建造など、高付加価値船の設計・開発、調達業務を担う。海洋鉄構は大型のガス船や海洋構造物などを建造する。17年には今治造船、大島造船所、名村造船所の専業3社と相次ぎ業務提携し、協業戦略も広げてきた。低コスト生産を得意とする専業メーカーに建造を依頼したり、設計などの建造ノウハウを提供する見返りに技術料を得たりする考えだ。

ただ、韓国の政府支援を受けた造船産業が過剰生産能力を抱えたまま安値受注を繰り返し、苦境が続いている。三菱重工の宮永俊一社長は「あれだけ海外勢に注文がいくとどうしようもない。本当に困った」と語る。造船事業の構造改革を実行したばかりのため、「これから何年かは一生懸命やりながら、どのように生きていくかを考える」という。

(星正道)

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