2019年5月26日(日)

カードすり替えやアポ電強盗、特殊詐欺「新型」まん延

2019/2/21 10:14
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オレオレ詐欺など特殊詐欺の被害が後を絶たない。警察庁が21日に発表した2018年の集計(暫定値)では年間の被害額は356億円で、1日あたり1億円、1件あたり228万円がだまし取られている計算だ。キャッシュカードをすり替えたり、電話をかけた後に被害者宅に押し入ったりするなど新たな手口も確認されている。

「あなたのキャッシュカードが不正に利用されている」。ある日、警察官や金融庁職員を装った人物から電話がかかってくる。その後、自宅を訪ねてきた人物が「カードを止める必要があるので暗証番号を書いたメモと一緒に厳重に保管を」と嘘を言い、持参した封筒にカードを入れさせる。その上で「封筒に割り印が必要」と言って印鑑を取りに行かせ、その間に偽のカードを入れた別の封筒とすり替え、本物のカードを持ち去る。

警察庁によると、17年ごろからこうした手口が目立つようになった。被害者には「カードを渡した」という認識がないため犯行に気付くのが遅れ、犯人に口座の金を引き出されてしまうという。

すり替えの手口は詐欺ではなく窃盗となり、特殊詐欺の被害としては計上されていないが、警察庁は実質的に特殊詐欺の一種として18年分の被害を初めて集計。全国で1348件、18億9千万円の被害が確認され、警察は警戒を強める。

荒っぽい事件も起きている。今年1月、東京都渋谷区の高齢夫婦宅に息子をかたって「病気になったのでお金が必要」と電話があり、自宅にある現金の額を確認。2日後に覆面姿の男3人が家に押し入り、数千万円と貴金属類を奪った。2月にも同じような手口で別の高齢者宅から現金約400万円が奪われた。

こうした犯行は相手を信用させるため事前に電話(アポイント電話)をすることから「アポ電強盗」ともいわれる。特殊詐欺と手口が重なり、捜査当局は背後に同じグループがいる可能性もあるとみる。警視庁幹部は「ATMの引き出し制限など対策が進み、手っ取り早く現金を手にしようとしているのではないか」と指摘する。

被害防止のためには、多額の預金引き出しや振り込みをしようとする高齢者への注意喚起が重要とされる。金融機関は窓口で使い道を聞いたり、詐欺に該当しないか確認するチェックシートを示したりしている。

ただ警察庁がオレオレ詐欺の被害者(未遂含む)1099人にアンケートしたところ、実際にだまし取られた人の27.7%が、被害に遭う前に金融機関の職員らから声をかけられていた。内容を分析したところ、使途を聞かれただけでは被害を防ぎきれないことが明らかになった。

「上司ら複数の人から説明を受ける」「応接室に案内される」といった対応で思いとどまるケースが多く、警察庁の担当者は「より踏み込んだ対応が有効」として金融機関などに協力を求める方針だ。

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