「ギョーザのまち」戦国時代、堺も参戦(もっと関西)
とことんサーチ 17年に3位

関西タイムライン
2019/2/21 11:30
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ギョーザのまちとして真っ先に思い浮かぶのは浜松市と宇都宮市だ。両雄がしのぎを削る中、2017年の総務省家計調査で、堺市が世帯当たり購入額で3位につけ、注目を集めた。前年の17位から急上昇。なぜ堺市でギョーザの購入額が増えたのか。理由を探ると、ギョーザの食文化が根付きやすい関西の姿と、戦国時代に突入したギョーザのまちの覇権争いが浮かび上がってきた。

工業地帯ではギョーザは好まれるとの指摘も(堺市内の専門店「龍華山」の焼きギョーザ)

工業地帯ではギョーザは好まれるとの指摘も(堺市内の専門店「龍華山」の焼きギョーザ)

「3位には衝撃を受けた」。こう話すのは堺市のギョーザ持ち帰り専門店「龍華山」代表の毛穴貴祥さん(42)だ。16年までの5年間は7~17位。突然のランクアップに驚いたという。それでも「前年に比べて売り上げは2倍ほどになった」と手応えも感じている。

なぜ急に3位になったのか。焼き餃子協会代表理事の小野寺力さん(42)は「スタミナがつくギョーザは、工場が多い地域でよく食べられる」と分析する。堺市には堺泉北臨海工業地帯があり、ホンダやスズキの工場がある浜松市と条件は似通っている。

日本フードツーリズム学会会長の尾家建生さん(71)は「お茶菓子とギョーザには共通点がある」と指摘する。堺市は千利休の出身地でもあり、茶道のまちともいわれる。尾家さんは「一口で食べられるお茶菓子のように、小さいギョーザのような食べ物が好まれるのでは」と推測する。

■18年は8位後退

堺市にはもともとギョーザがよく食べられる素地があったということか。では、なぜ急上昇したのが17年なのか。説得力のある理由を探していた8日、総務省が18年の最新順位を公表した。堺市は大幅に順位を落として8位。「17年の3位は驚きと喜びが入り交じっていたが、18年は残念」(堺市広報課)と落胆の声が漏れた。

3位は偶然だったのか。折しも毎月勤労統計の不正問題が国会で追及される中、「ギョーザの購入額もサンプルが少なく、個人差に影響されるのでは」と統計を疑問視する声も聞いた。理由を考えていると、小野寺さんが「ギョーザは戦国時代に突入した」と興味深い見方を示してくれた。

■上位の差小さく

18年にトップに返り咲いた浜松市の購入額は3501円、2位の宇都宮市は3241円。続く宮崎市が3106円で、2位と3位の差はわずか135円だ。

過去5年の順位を見ると、1位と2位は常に浜松市か宇都宮市。2位と3位以下の差に注目すると14~16年までは1500円程度まで開いていた。これが17年に488円まで縮まり、18年に135円となった。18年は2位の宇都宮市から14位の広島市(2247円)まで1000円差に収まる大接戦だ。「ギョーザ人気の広がりで全国的に差が縮まり、順位変動しやすくなった」(小野寺さん)

群雄割拠の様相を呈する中、18年に前年の27位から5位に急上昇したのが大阪市だ。改めて順位を見返してみると、京都市は4位、大津市も過去に上位に食い込んでいる。ギョーザ消費は浜松市と宇都宮市の印象から東日本のイメージが強いが、実は関西勢も上位につけている。

「粉もん文化の土壌が影響している」。日本コナモン協会会長の熊谷真菜さん(57)はこう指摘する。小麦粉の皮で包むギョーザも粉食の一種。江戸時代、水田の少ない関西では各地から集まる食材を活用した粉食が根付いたという。通販で購入できるものだけでも1500種類あるといわれるギョーザはアレンジしやすく、熊谷さんは「新しい食感を求める関西で好まれる」と話す。

堺市にも挽回の余地はある。8位に後退したとはいえ、2位の宇都宮市との差は862円にとどまる。ギョーザを鍋に入れて食べることが多い堺市は、寒い時期(10~12月)の購入額が719円で宇都宮市(804円)と大差なく、浜松市(714円)を上回る。

宇都宮市はギョーザ購入額が1位だったことに着目した市職員が1990年ごろにギョーザのまちづくりを始めた。尾家さんは「食を観光に結びつけるには、市民主導で行政がバックアップし、まちが一体となる必要がある」と指摘する。

堺市は17年の3位を受け、ギョーザのまちとしてPRを本格化。25日に公開する市のPR動画でもギョーザをアピールする。戦国時代に突入したギョーザのまちの覇権争い。堺市の戦いは始まったばかりだ。

(大阪経済部 川井洋平)

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