ウーバー上場目前、苦しい収益改善 赤字続く
ガバナンス、多角化、技術革新が課題

2019/2/20 13:21
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【シリコンバレー=白石武志】米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズが収益改善に苦しんでいる。このほど開示した2018年10~12月期決算では、サービス取扱高が前年同期比で4割近く伸びたものの、運転手などへの報酬負担が大きく本業の損益は赤字が続いた。ライドシェアのライバル企業との競争も厳しく、今年前半とみられている株式公開に向けては「ガバナンス」「多角化」「技術革新」の3つの課題が待ち構える。

米スターバックスもウーバーとコーヒーの宅配で連携している

米スターバックスもウーバーとコーヒーの宅配で連携している

■アプリ削除運動広がる

ウーバーが投資家らに開示した決算資料によると、ライドシェアや料理宅配など全サービスの取扱高は前年同期比37%増の142億ドル(約1兆5700億円)となり、四半期として過去最高を更新した。ただ、ロシアや東南アジアでのライドシェア事業売却の影響を加味した実質ベースの伸び率は30%程度にとどまったとみられる。

1年前に50%を超えていた成長力に陰りが見え始めた一因が、2017年から相次ぎ発覚した社内セクハラ隠蔽などの不祥事だ。利用者の間でウーバーのアプリをスマートフォンから消去する「デリート・ウーバー(DeleteUber)運動」が広がった。

米調査会社のセカンドメジャーによると2017年初めに82%あったウーバーの米国ライドシェア市場におけるシェアは2018年12月末には69%まで下がった。

ライバルの米リフトはウーバーから流出した利用者を取り込むことで、同じ期間にシェアをこれまでの2倍の3割近くまでのばしている。ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は2017年8月の就任以来、ガバナンス(企業統治)改革を唱え信頼回復に取り組んできたが、シェアを取り戻すまでには至っていない。

■ウーバーイーツの次を模索

ライドシェア事業の減速を補い、今回の決算で「第2のエンジン」となったのが2014年に始めた料理宅配のウーバーイーツだ。取扱高はウーバー全体の20%を突破したとみられ、ネルソン・チャイ最高財務責任者(CFO)は決算開示に合わせて出した声明の中で「中国を除いた地域で最大の料理宅配事業者になった」と胸を張った。

料理宅配市場の参入障壁は低く米国でもドアダッシュやグラブハブなど多くのライバルがひしめいているが、ウーバーの強みはライドシェア事業で築いた利用者や運転手などのサービス基盤だ。同社はバイクシェアや貨物輸送、垂直離着陸機を使った「空飛ぶタクシー」などの分野にも同様の取り組みを広げる構えだ。

こうしたモビリティ(移動)サービス分野での総合力への期待から、ウーバーの上場時の時価総額は1200億ドルに達するとも報じられている。ただ、本業の収益指標として重視する修正EBITDA(償却前営業利益)は今回も8億4200万ドルの赤字となった。業績を確認できる2017年1~3月期以降、8四半期連続で赤字が続いている。

■人件費高騰、自動化が焦点

原因は各種のサービスを担う人々への報酬だ。現在、サービス取扱高の約8割をライドシェアの運転手や料理宅配の配達員らに配分しており、ウーバーの売上高に相当する手数料収入だけではサービス開発などの費用をまかなえない状態が続いている。優良ドライバーをめぐるリフトとの争奪戦も激しく、サービス取扱高に占めるウーバーの取り分は低下傾向が続いている。

昨年12月には米グーグル系のウェイモが米アリゾナ州で自動運転車を使ったライドシェアサービスを始めたほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)も今年中に同様のサービスを米国で始める計画だ。運転手を不要にすることでコスト構造を一変させ、ウーバーの牙城を切り崩そうとする動きが広がっている。

ウーバーの自動運転技術の開発は、昨年3月に公道走行試験中の車両が起こした死亡事故の影響で停滞している。自力での巻き返しは難しいとの見方もあり、64億ドル(2018年末時点)に上る手元資金でこの分野を補完する企業や技術を獲得できるかが注目されている。

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