富士通、2850人が早期退職 営業・エンジニアに配転も
富士通は19日、早期退職制度により3月末までに2850人を削減すると発表した。間接部門から営業などへの配置転換も進める。米アマゾン・ドット・コムをはじめとするIT(情報技術)大手がクラウド市場で大きなシェアを握るなど、業界が激しく変化するなかで構造改革を急ぐ。

2018年10月にグループで5千人規模の配置転換を実施する方針を打ち出していた。グループ外への転職を促す「転進支援制度」で退職割増金を加算。今年1月末までに2850人が応募したことから、2千人強を配置転換することにした。人事や総務などに所属する人材の一部は研修を受けたうえで、営業やシステムエンジニアなどITサービスに関わる職種に転換する。
今回の人員削減で年間200億円強の固定費削減効果を見込む。一方で退職金の割り増しや再就職支援などで461億円の費用が発生する。費用は19年3月期の決算に計上するが、期初に織り込んでいた構造改革費用の範囲内のため売上収益を3兆9千億円、営業利益を1400億円とする業績予想は据え置く。
同業のNECも今年春までに取引先への転籍や照明事業の売却などで約3千人がグループを去る。間接部門や非中核のハードウエア部門の一部で希望退職を募った。
富士通やNECは2000年代以降、韓国や中国勢の台頭で競争が激化したパソコンや半導体といった事業を他社との統合や売却で切り離してきた。得意とするシステム構築などに経営資源を集中させてきたが、この分野でもアマゾンのクラウド事業など世界のIT大手が存在感を増し苦戦を強いられている。リストラで費用を圧縮する一方、高採算が期待できる新しい事業分野の発掘も迫られている。
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