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育成に普及、教育… 今こそ部活をバージョンアップ
FIFAコンサルタント 杉原海太

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2019/2/21 6:30
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中学や高校の課外活動として行われるスポーツの部活動、いわゆる部活は日本独特のものだ。その学校の生徒なら基本的に誰でも参加でき、競技の普及という面で大きな役割を果たしてきた。この部活というプラットフォームをバージョンアップできたら、日本の社会を変えるくらいのインパクトがあるように思う。

中学生が放課後にスポーツを行う場所をリサーチすると、日本のように主に学校でやる国もあれば、ドイツのように地域のクラブでやる国、米国や英国のように学校とクラブが併存する国もある。割合でいえば、部活中心の日本は少数派に入るようである。

日本のスポーツに最適なのは…

中学、高校の部活で比べた場合、米国はほぼすべての学校に運動部はあるものの、入部のためのトライアウトなどがあって、ある種の精鋭主義を採っていると聞く。その先には奨学金を手にしてアメリカンフットボールやバスケットボールの強豪大学に進み、最終的にはプロ選手になるという夢がある。

一方、英国の部活はそこまでぴりぴりしていないらしい。サッカーなら将来有望なタレントはクラブのアカデミー(育成組織)に吸い取られるから、残った生徒たちによる部活はどうしてもサークル的にならざるをえないのだろう。

サッカーの全国高校選手権で優勝した青森山田イレブン。来る者を拒まない部活は日本独特=共同

サッカーの全国高校選手権で優勝した青森山田イレブン。来る者を拒まない部活は日本独特=共同

その点、日本は学校の部活から五輪の金メダルを狙うようなアスリート、ワールドカップに出場するようなサッカー選手を普通に輩出する。そうした部活は必ずしもエリート主義を採らず、大勢の部員で構成されている。来る者を拒まないハードルの低さは競技の裾野を広げ、大所帯の中で多種多様な人間にもまれることは人格形成に資する教育的効果もあるとされる。

日本の部活のユニークさは(功罪両面あるが)、こうやって選手の育成と強化、普及と教育という、ありとあらゆる要素がてんこ盛りになっていることだろう。

いうまでもなく、部活には部活の、クラブにはクラブのよさがある。それぞれのメリットとデメリットを因数分解ではないけれど、教育、選手育成と強化、普及と振興など、ありとあらゆる角度から検証し、どうすることが日本のスポーツにとって最適なのか、答えを整理することは非常に重要だと思っている。

普及と振興の観点からすると、プラットフォームとしての部活は"最強"ではないか。学校の中に校庭や体育館という練習場があって、誰でも望めばすぐにスポーツに触れられる。学校の中という"閉じた空間"で暴力的な指導等のゆがんだ行為が発生することもあるが、そこだけを取り上げて、部活自体を「悪」と全否定するのもおかしな話だろう。

そうした諸問題は、教員以外の優秀な指導者を外部から招請するなど、部活を開いた形にしていくことで十分に改善していけると考える。

部活をめぐる議論がややこしいのは、スポーツと体育と武道という部活に入り込んだ要素のそれぞれの、目指すものが微妙に違うところにある気がしている。

個人的な見解を述べれば、スポーツの根底にあるのはエンジョイだ。楽しいことは時間を忘れて没頭できるように、試合や練習に夢中になって、気がついたらうまくなり、体が丈夫にもなっている。あくまでもプロセスを重視し、あれこれ思案し工夫するのが楽しい。よいプロセスはよい結果を生む。それがスポーツだと。

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