養殖最前線 持続的な漁業を目指して(熱撮西風)

2019/2/21 2:00
保存
共有
印刷
その他

国際的な海洋資源の管理が厳しくなるなか、養殖へ注目が集まる。かつて世界一を誇った日本の漁業生産量は、1984年のピーク時に比べ約3割まで減少した。人工知能(AI)や飼料の改良など最新の養殖技術で漁業の持続的成長を目指す動きが広がっている。

船から餌が空気で打ち出されるといけすのマグロが活気づく。極洋フィードワンマリンの完全養殖施設では、2014年から大豆たんぱくなどと魚を練り合わせた配合飼料を与える。これまではマグロを1キログラム太らせるのに約15キログラムのアジやサバが必要だったが、穀物を使うことで水産資源の保護につながると注目されている。

いけすのマグロが配合飼料に群がる(愛媛県愛南町)

いけすのマグロが配合飼料に群がる(愛媛県愛南町)

船上のパイプから送風機で配合飼料(写真右上)をまく(愛媛県愛南町)

船上のパイプから送風機で配合飼料(写真右上)をまく(愛媛県愛南町)

緑色の発光ダイオード(LED)に照らされた水槽にヒラメが浮かび上がる――。養殖ヒラメの2017年の収穫量が542トンで全国有数の大分県。農林水産研究指導センターは緑色LEDで成長を促す実験を続ける。海底に潜む生態のヒラメが緑色光の下では活発に泳ぎ、食欲も旺盛になる。自然光下の個体と比べ、体長で約1.2倍、体重で約1.6倍に育った。同センターの木藪仁和主幹研究員は「生産コストを下げ、海外産に負けない養殖ヒラメを目指したい」と話す。

緑色のLED光を照射し、ヒラメの成長を促す(大分県津久見市)

緑色のLED光を照射し、ヒラメの成長を促す(大分県津久見市)

近畿大の水産養殖種苗センターは昨年12月、マダイの養殖稚魚をいけすからチェック・選別工程に移送する作業にマイクロソフトのAIを使ったシステムを導入した。今までは熟練スタッフの経験に基づいて行っていた作業を、AIが画像や流速などを総合的に解析、作業に適量の稚魚を水ごと吸い上げベルトコンベヤーに流す。年間1200万匹のマダイの稚魚を近畿大の関連会社を通じて出荷する同センター。熟練の「技」を学んだAIで人員の適切な配置が可能になった。

いけすから水ごと移送されるマダイの養殖稚魚。AIを使ったシステムで解析、作業に適した量をベルトコンベヤーに流す(和歌山県白浜町)

いけすから水ごと移送されるマダイの養殖稚魚。AIを使ったシステムで解析、作業に適した量をベルトコンベヤーに流す(和歌山県白浜町)

(大阪写真部 小川望、山本博文、淡嶋健人)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]