印パ関係、テロ受け一段と悪化 インド、最恵国待遇を取り消し

2019/2/18 21:30
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【ムンバイ=早川麗】インドとパキスタンの関係が一段と悪化している。帰属を争うカシミール地方のインド側で起きたテロにパキスタンが関与したとして、インドは最恵国待遇(MFN)の取り消しや関税引き上げに踏み切った。猛反発するパキスタンは18日、駐インド大使を召還した。ともに核保有国である両国間の緊張が高まれば、アジア全体の安全保障にも懸念材料になりかねない。

インド兵による警戒が続く印ジャム・カシミールの州都(16日)=ロイター

18日、カシミール地方で起きた銃撃戦の現場に到着したインド兵=ロイター

発端となったのはインド北部ジャム・カシミール州で14日、インドの中央予備警察隊が乗っていたバスに350キログラムの爆発物を積んだ乗用車が衝突し、隊員40人以上が死亡したテロ事件だ。パキスタンを拠点とするイスラム過激派が攻撃を認めた。

18日もインド兵とテロリストの銃撃戦が発生し、地元メディアによるとインド兵4人とテロリスト2人が死亡した。

インド政府は「(パキスタンを)国際社会から孤立させるため、あらゆる外交手段を取る」(ジャイトリー財務相)と発言。15日にMFNを取り消し、16日にはパキスタンからの輸入品すべてに200%の関税をかけた。

地元紙によると、インドのパキスタンからの輸入額は2017年度で5億ドル(約550億円)弱。輸入額全体の0.1%程度にすぎず、象徴的な意味合いが強い。

インドは4~5月に総選挙を控えており、支持率が伸び悩むモディ政権はパキスタンに弱腰を見せられない立場にある。「みなさんの心に荒れ狂う怒りは、私の怒りでもある」。モディ首相は演説でパキスタンへの報復を誓い、軍事的な選択肢も視野に入れていると強調した。

一方、パキスタン外務省はテロ行為を非難するとともに「調査もせずに事件とパキスタンを関連づけようとするインド政府とメディアの姿勢は受け入れられない」と強く反発した。パキスタン国内ではインド情報機関による陰謀との見方や、モディ氏が事件を支持率上昇につなげようとしているとの指摘もある。

インドは核弾頭を約130、パキスタンは約140をそれぞれ保有する。両国とも核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、中距離ミサイルを増やすなど軍拡競争を続けてきた。両国の対立がエスカレートし続ければ、偶発的な軍事衝突を招きかねないとの懸念も強い。

米ホワイトハウスは14日の事件後、「パキスタンがテロ支援をすぐにやめるよう求める」との声明を発表した。インドへの攻撃は「テロとの戦いに向けた米印の協力関係を強めるだけだ」とも述べ、インド寄りの姿勢を強調した。

1947年に英国から独立した両国は3度にわたって戦争を繰り広げたが、近年は関係改善を模索する動きもあった。14年のモディ首相就任後は雪解け機運が何度か高まったが、その度にカシミール地方でテロが起きて頓挫した。

パキスタンのカーン首相も18年8月の就任直後のテレビ演説で「隣国との平和なくしてパキスタンに平和は訪れない」と対印関係の改善に意欲を示し、翌9月には3年ぶりの印パ外相会談が開催される予定だった。だがパキスタンの武装集団が同月、実効支配線を越えてインド側に侵入して警官3人を誘拐・殺害し、会談は中止になった。

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