2019年8月23日(金)

iPS細胞で脊髄損傷治療 厚労省、慶大の計画了承

2019/2/18 12:19
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厚生労働省の専門部会は18日、iPS細胞を使って脊髄損傷を治療する慶応義塾大学の臨床研究計画を了承した。iPS細胞から作った神経のもとになる細胞を患者に移植し、機能改善につなげる世界初の臨床研究となる。2019年夏にも始まる見通しだ。目や心臓、脳の神経、血小板に続き、実際に患者に移植する再生医療の研究が広がっている。

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計画では脊髄の損傷から2~4週間が経過し、運動などの感覚が完全にまひした18歳以上の患者4人が対象。京都大学iPS細胞研究所が備蓄する他人のiPS細胞から神経のもとになる細胞を作り、患者1人あたり200万個を損傷部に注射で移植する。慶応大の岡野栄之教授と中村雅也教授らのチームが実施する。

移植から1年かけて安全性や効果を確かめる。移植とともにリハビリもして、手足などの運動機能の改善を目指す。他人の細胞を移植するので拒絶反応を抑えるため免疫抑制剤を使う。

脊髄損傷はけがや事故などで脊髄が傷つき、体を動かす神経に脳からの命令を伝えることができなくなり、手足のまひなどが起こる。国内患者は毎年約5000人が新たになっており、のべ10万人以上といわれる。事故で若いうちから車いす生活となる場合も多い。損傷部位を完全に修復する治療法はない。

今回の計画は、iPS細胞を使う再生医療の中で「本丸」とも位置付けられるものだ。脊髄は神経の状態を再現する実験が難しくて研究しにくいことから、脳と並んで創薬が進みにくい。iPS細胞の登場で、神経細胞を補う再生医療ならば運動機能を改善できるのではないかと期待を集めている。岡野教授らのサルに移植する実験では、歩けるように回復させることに成功している。

岡野教授と中村教授は、慶応大発ベンチャー、ケイファーマ(東京・港)を16年に設立。今回の臨床研究で安全性などが確認できれば、効果をより詳細に調べるための臨床試験(治験)の実施など実用化に向けた次の段階に進みたい考えだ。一般的な治療としての普及を目指す。

iPS細胞を使う再生医療は臨床応用を目指す計画が相次ぐ。移植第1号は、理化学研究所などが14年に目の難病患者を対象に実施した。18年には、パーキンソン病患者の脳に神経細胞を移植する京都大の治験で患者に移植した。

さらに、重症の心不全を対象にした大阪大学の臨床研究や京都大の血小板を輸血する臨床研究が国に認められた。

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