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自動車関税、詰めの協議 米政権の「脅し」材料に

【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権は輸入自動車への追加関税を巡り、詰めの協議に入る。商務省が17日をメドに調査報告書を提出し、トランプ大統領は90日以内に関税発動の是非を判断する。米国と通商協議を開始する日本は、追加関税の適用を当面回避できそうだ。ただ、トランプ氏は自動車関税を通商交渉の「脅し」の材料と位置づけており、対日協議でも大きな圧力となる。

自動車関税は世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する可能性が極めて高い

トランプ氏が自動車の追加関税を検討するよう指示したのは2018年5月23日。関連法は270日以内に商務省は調査報告書を提出するよう定めており、その期限が2月17日だ。ロス商務長官は「自動車の貿易赤字の解消が必要だ」と主張。トランプ氏に追加関税を勧告する可能性が高い。

トランプ氏は15日の記者会見で、鉄鋼への輸入関税に触れて「全米で工場が増えている。関税が好きだ」と話した。ただ、日本はトランプ政権が自動車関税の発動を決めたとしても、適用除外となりそうだ。18年9月の首脳会談で日米は貿易自由化に向けた通商交渉を開始すると決めた。米国側は交渉期間中は自動車関税を課さないとしており、目先は不安がない。

もっとも、自動車関税は日本に市場開放を迫る重い交渉材料となる。トランプ氏は昨年9月の首脳会談以降も「日本が市場開放に応じなければ自動車に関税を課す」と繰り返す。カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉でも自動車関税を「脅し」の材料に使って、主張を強硬に押し通した。欧州連合(EU)との貿易交渉も自動車関税が最大の切り札となる。

自動車関税は世界貿易機関(WTO)ルールに抵触する可能性が極めて高い。米政権は安全保障を理由に自動車に関税を課すと主張する。WTOには安保を理由とする輸入制限を容認する条項があるが「普及品の自動車が安保上の脅威とは到底思えない」(日本側通商担当者)。

米経済への影響も甚大だ。自動車分野は輸入全体の15%を占め、25%の追加関税を課せば部材コストの増加や輸入車販売の急減で、70万人分の雇用が失われるとの試算がある。米自動車大手3社(ビッグスリー)ですら「自動車関税は雇用に大損害をもたらす」と強く反対する。

トランプ氏は同報告書を基に、原則90日以内に関税発動の是非を判断する。米上院で通商政策を担当する財政委員会のグラスリー委員長は1月中旬、記者団に「トランプ氏は関税発動に傾いているようだ」と述べた。

トランプ氏は「中国などからの関税収入で国庫が潤っている」と繰り返す。その発想が関税政策の自賛につながっているのだが、グラスリー氏は14日にトランプ氏に書簡を送って「間違えないでほしい。輸入関税を支払うのは米国民だ」と自動車関税に反対すると表明した。

政権内にも株価の下落要因となる関税導入に異論が残る。鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課した際は、商務省が18年1月に報告書を提出したものの、内容を公表したのは1カ月後の同2月。トランプ氏が関税発動を最終決定したのは翌3月だった。トランプ氏は日本などとの貿易交渉もにらみながら、自動車関税の是非を慎重に判断することになる。

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