米経済政策に停滞懸念 「壁」で野党と対決

2019/2/16 18:00
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【ワシントン=河浪武史】米議会での与野党対立が決定的となったことで、経済政策の停滞が避けられなくなってきた。予算審議の遅れで歳出が急減する「財政の崖」の懸念が強まり、新たな北米自由貿易協定(NAFTA)の批准のめども立たない。経済優先の政権運営に黄信号がともれば景気の失速要因にもなりかねない。

「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を批准すれば(米経済を押し上げて)間接的に壁の費用を充当できる」。トランプ氏は15日の記者会見で、2018年11月に3カ国で署名した新しいNAFTAの批准を議会に強く求めた。ただ、批准には民主党が多数派を占める下院での可決が必要で、与野党の亀裂がその実現を阻む。

税財政にも停滞の懸念がある。15日には19会計年度(18年10月~19年9月)予算がようやく成立したが、20年度予算の審議も待ったなしだ。トランプ政権と議会共和党は18年2月、18年度と19年度の歳出を計3000億ドルも押し上げる特例法を成立させている。20年度分も同様の歳出拡大法を通さなければ、政府支出が急減して「財政の崖」が発生しかねない。

米連邦政府には財政悪化を防ぐ「予算管理法」があり、各年度の歳出に上限を設けている。19年度は国防費や公共事業費など「裁量的経費」の上限が1兆910億ドルだったが、特例法で約1兆2400億ドルに引き上げた。20年度の上限は1兆1180億ドルで、新たな歳出拡大法がなければ、1千億ドル以上も歳出が急減する。19年後半は減税効果も薄れ始め、米景気は二重の逆風で失速しかねない。

3月1日には連邦政府の借入額が法定限度額に達し、上限の引き上げが遅れれば数カ月で政府資金が枯渇して米国債のデフォルトリスクも浮上する。米政府債務は既に22兆ドルと過去最大。反発する野党側となんとか協調を模索し、債務上限を引き上げ、さらに歳出増で「財政の崖」を回避しても、その次には財政不安が台頭する。議会の混乱は、連邦政府の台所に忍び寄る「非常事態」への対処を遠ざける。

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