スペイン、4月28日に総選挙 極右台頭の懸念も

2019/2/15 19:14 (2019/2/15 22:31更新)
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【パリ=白石透冴】スペインのサンチェス首相は15日、上下院を解散し4月28日に前倒し総選挙を実施すると発表した。少数与党のため2019年度予算案が議会を通らず政権運営が困難になっており、民意を問うことにした。ただ現時点での世論調査ではどの政党も過半数を取れない見通しで、極右政党ボックスの台頭も予想される。スペイン政治が一段と流動的になる可能性もある。

スペインのサンチェス首相は解散総選挙を発表した(15日、マドリード)=ロイター

スペインのサンチェス首相は解散総選挙を発表した(15日、マドリード)=ロイター

15日朝(日本時間同日夕)の閣議後、サンチェス氏は「議会の解散を決めた」などと語った。当初任期終了の20年まで選挙は実施しないとしてきたが、自身が率いる中道左派与党社会労働党は下院(350議席)第2党で、4分の1以下の84議席を占めるにすぎない。法案ごとに他党の閣外協力を得てきたが、限界に達したと判断した。

スペインは15年と16年にも総選挙を実施している。既存政党への失望感から有権者の票が分散して政党数が増え、政治が不安定になっている。

今回の選挙の焦点は法案の成立などで優越する下院の行方だ。有力紙パイスの世論調査によると、トップを走る与党社会労働党でも支持率は約24%どまり。政権を再度取れるかは選挙後の連立交渉がカギになる。

注目は13年にできたばかりの極右ボックスの動向だ。かつての支持率は数%にすぎなかったが、18年半ばから急に人気を高め現在10%程度まで支持を広げている。

スペインでは1975年まで強権政治を続けた独裁者フランコの記憶が根強く、極右勢力の台頭が目立ってきた欧州のなかでは中道・左派が優位を保っていた。

だがイタリアで18年に誕生した反移民政権が地中海を渡って流入するアフリカ系移民・難民の受け入れを拒み、スペインが受け皿になるケースが増加。移民の急増に不安を訴える人が増え、ボックスの支持拡大につながっている。同党はモロッコと隣り合う飛び地セウタに移民を防ぐ壁を造るなどと主張している。

ボックスに伝統的な中道右派の国民党、新興勢力の中道右派シウダダノスが加わって右派連合をつくり、政権奪取を目指すとの見方がある。3党合わせた支持率は約50%に達する。

右派系が政権を取った場合は、比較的寛容な現在の移民対応が変わる可能性があり、欧州連合(EU)全体の移民政策にも影響を与えそうだ。右派政党はスペインの中央集権も志向している。独立運動がくすぶる北東部カタルーニャ州にも厳しい姿勢で臨むとみられ、国内の世論の分断が進む懸念もある。

サンチェス氏は18年6月、ラホイ前首相に対する不信任案を可決させ、首相の座に就いた。閣僚の半分以上を女性にしたり、最低賃金引き上げを表明するなどして新鮮さを打ち出し、国内での人気は高まった。親EU派を自任し、EUでも好意的に受け止められた。ただ異例の少数与党で常に不安定な政権運営を迫られ、ついに行き詰まって解散に追い込まれた。

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