米中、構造問題なお溝 米で閣僚協議を続行

2019/2/15 18:25 (2019/2/15 22:44更新)
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【北京=原田逸策】米中両国政府が北京で開いていた閣僚級の貿易協議が15日、終わった。中国による米国製品の輸入拡大など市場開放は前進したが、技術移転強制や補助金など構造問題ではなお溝が残った。米中は隔たりを縮めるため、来週もワシントンで協議を開く。同時に3月1日の協議期限の延長に向けた調整も始めるとみられる。

中国の習近平国家主席(右)と握手する米通商代表部のライトハイザー代表(中)(15日、北京)=ロイター

中国の習近平国家主席(右)と握手する米通商代表部のライトハイザー代表(中)(15日、北京)=ロイター

「重要で段階的な進展がまたあった」。2日間の協議終了後、習近平(シー・ジンピン)国家主席は人民大会堂で米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表やムニューシン財務長官と会い、協議をこう評した。国営中央テレビが伝えた。

進んだのは米国の対中貿易赤字の削減だ。中国は米国産の農産物やエネルギーに加え、工業製品でも具体的な輸入拡大策を示した。金融市場の開放策も提示済みだ。

米中それぞれが15日夜に公表した声明によると、双方は輸入拡大や市場開放を盛った覚書の作成に着手した。最終合意にいたる前に当面の協議成果を「ピン留め」する狙いとみられる。

ただ、中国の構造問題を巡る溝はなお深いようだ。米声明は「取り組むことが多く残る」と率直に認めた。中国は技術移転強制、国有企業、補助金の問題で具体的な提案を見送った公算が大きい。合意事項を中国にどう履行させるかの枠組みでも中国は追加関税など罰則に慎重とみられる。

「食い違いは協力で解決したいが、協力には当然、原則がある」。習氏は会談でこう強調した。「原則」とは昨年12月の講演でふれた「すべてを共産党が指導」「中国の特色ある社会主義の堅持」などを指すようだ。

米が求める構造改革はこれらの原則に抵触し、受け入れがたいとの立場を伝えたもようだ。習氏は「貿易はいくらでも譲歩するが、体制を変える(構造問題の)譲歩はしない」方針とされる。米中はともに声明で「双方は協議期限の3月1日までにすべての未解決の課題に取り組む」と強調したが、実際には構造問題で双方が期限内に折り合うのは容易ではない。

このため期限を延ばす案が浮かぶ。トランプ米大統領は12日に「真の合意に近づけば、若干の延長はある」と語り、米ブルームバーグ通信は「トランプ氏が60日間延長を検討」と報じた。来週の協議結果も踏まえ、トランプ氏が「隔たりが縮まった」と判断すれば延長が現実味をおびる。

今後の焦点は米中首脳会談をいつ、どこで開くか。中国側は中国での開催を打診するが、米国側はフロリダ州のトランプ氏の高級別荘など米国での開催を主張しているようだ。今後、米中の駆け引きが激しくなる。

トランプ氏は追加関税の引き上げに慎重――。中国はこう見透かしているフシがある。看板公約「国境の壁」を巡る混乱が続く中、追加関税で株式市場が混乱すれば支持率も落ちかねない。トランプ氏再選に向けた手柄になる大豆購入などの花をもたせつつ構造問題での譲歩を避ける――年明け3回の米中協議から中国のしたたかなシナリオが浮かんでくる。

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