「生きた絵を」奥村土牛生誕130年記念展

文化往来
2019/3/3 6:00
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日本画家、奥村土牛の生誕130周年を記念した展覧会が山種美術館(東京・渋谷)で開催中だ。同館を創設した実業家、山崎種二は土牛と親交が厚く、無名のころから支援を続けた。その縁から全国でも屈指の土牛コレクションで知られる。約60点の作品を通して生涯を振り返る。3月末まで。

奥村土牛「鳴門」1959年 紙本・彩色 山種美術館蔵

奥村土牛「鳴門」1959年 紙本・彩色 山種美術館蔵

土牛は1889年東京生まれ、梶田半古に師事し、16歳で絵の道に入る。雅号は父親が、中国・唐代の寒山詩の一節「土牛石田を耕す」から名付けた。遅咲きで38歳で院展に初入選、代表作で徳島の渦潮を描いた「鳴門」や醍醐寺の桜をモチーフにした「醍醐(だいご)」などは古希を超えてからの作品だ。

透明感がありながら深みがある色彩が特徴。土牛は外観の色を単に再現するのではなく、精神性を表現することを重視した。はけで胡粉(ごふん)や岩絵の具を何度も塗り重ね制作したという。監修した美術史家の山下裕二氏は「色数を限ってシンプルに美しく仕上げている。セザンヌらポスト印象派の影響も見られる」と指摘する。

「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と100歳を超えるまで絵筆を握った。晩年はおおらかで温かみのある作風に一層磨きがかかった。雅号の通り、一歩一歩、真摯に研さんを続けた歩みが見えてくる。

(赤塚佳彦)

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