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大谷20発、菊池8勝 成績予想の根拠とは?
野球データアナリスト 岡田友輔

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2019/2/17 6:30
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大谷翔平(エンゼルス)は2割6分7厘、20本塁打、菊池雄星(マリナーズ)は8勝8敗、防御率4.20――。データ分析サイトを運営する米国のベースボール・プロスペクタスが先日、こんな2019年シーズンの成績予想を発表した。

大リーグでは毎年、複数のデータ会社が全選手の成績予想を出している。ひいきの選手がどれぐらい活躍するかはファンであれば気になるところだ。こうした予想は何が根拠になっているのだろうか。

最も重視されるのが過去数年の実績。直近2~5年程度の成績に基づき、近いほど重みをつけて反映させるのが一般的だ。海外やマイナーなど違うリーグでの成績も過去の例などから価値を換算して組み込む。

今季の菊池の成績について、米ベースボール・プロスペクタスは8勝8敗と予想した=共同

今季の菊池の成績について、米ベースボール・プロスペクタスは8勝8敗と予想した=共同

しかし、実績がすべてではない。年齢的に発展途上にあるのかピークを過ぎているのか。似たタイプの選手はどのようなキャリアを歩む傾向があるか。体格や故障歴はどうか。使用球やホームランテラスの新設など環境の変化による影響はどうだったか。様々な要素を加味し、最終的な予想値が決まる。大リーグの各球団は独自に自軍や補強候補となる選手の成績予想に取り組み、その精度を高めようと日々工夫を重ねている。

先行投資だからこそ大切

予想が大切なのは、球団にとって選手との契約が先行投資だからだ。年俸が期待値に基づいて決まる以上、前提となる数値がなければ話が始まらない。日本の球団が大リーグほどシビアに成績予想をしていないのは、年俸が期待値よりも論功行賞や年功序列的な要素で決まる傾向が強いからだろう。

データ分析や球団へのコンサルティングを手がけるDELTAでは直近3年間の成績をベースに、日本のプロ野球全選手の成績を予想している。たとえば今季、広島から巨人に移籍した丸佳浩は打率2割9分4厘、28本塁打。96四球を選んで出塁率4割1分6厘、長打率5割3分1厘を残し、104点分の得点創出に貢献するとみている。丸の人的補償として広島に移籍した長野久義のマイナスを考慮しても昨季に比べて35~40得点、3~4勝の上積みを巨人にもたらすと考えられる。

そうはいっても、こうした理屈は現実と一致するとは限らない。それが面白いところであり、難しいところでもあるのだが、大リーグでも現段階で予想の精度は6割程度と百発百中からは遠い。

ブレを生む理由はいくつかある。とりわけ大きいのが違うリーグへの移籍に伴う不確定要因だ。日米など国をまたぐとパフォーマンスの変動は一段と大きくなる。過去の例などに基づいて予想に調整を加えることはできても、個人差までは読み切れない。

海を渡って変わるのは野球のレベルだけではない。野球の質、求められるプレー、使用球、球場、練習環境、人間関係、言葉、食事に至るまでグラウンド内外のすべてが初めての体験となる。それに伴う精神的負担とも戦いながら、これまでと同じようにプレーするのは容易ではない。外国人が期待に応えられないとファンからはすぐに「またダメな外国人を連れてきた」との声が出るが、有能なサラリーマンでも慣れない海外出張先で普段と同じ働きをするのは難しいだろう。

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