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大谷20発、菊池8勝 成績予想の根拠とは?
野球データアナリスト 岡田友輔

(2/2ページ)
2019/2/17 6:30
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新人の予想も一筋縄ではいかない。全国レベルで活躍した選手ならまだしも、地方の高校生や大学生になると十分なデータが集まらない。このあたりはスカウトの腕の見せどころになる。一方、東京六大学のようにデータが集まり、過去にも多くのプロ選手を輩出しているリーグになると、かなり精度の高い予想ができる。この場合、重要になるのが周囲に比べた「傑出度」。投手であれば単純に何勝したかだけでなく、投球内容がどれだけ際立っていたか、といった視点が必要になる。

チームの起用方針も成績を大きく左右する。同じ選手でも監督が交代したり、チーム方針が変わったりすると使われ方がガラリと変わる。たとえば昨年の西武が森友哉を捕手で使うかどうかは首脳陣の判断に懸かっていた。時期尚早と考えれば出場機会は減っていた可能性が高いが、第三者の成績予想でそこまでは織り込めない。

打者に専念する大谷の今季成績は…=AP

打者に専念する大谷の今季成績は…=AP

ゲーム、一大市場を形成

ところで、米国で球団以外の多くの会社が成績予想を出している背景をご存じだろうか。実は「ファンタジーベースボール」というゲームが大きく影響している。これは実在する選手を参加者がドラフトするなどして自分だけの仮想のチームを編成し、選手の現実の成績に基づいてポイントを競うシミュレーションゲームだ。紙や鉛筆の時代には一部のコアなファンの遊びだったが、インターネットの普及とともに参加者が爆発的に増え、いまや一大市場を形成している。

毎年、ファンはゼネラルマネジャーとして自らのチームを組織する。そこで欠かせないのがデータ会社による成績予想。日本の競馬ファンが新聞の予想を参考に馬券を買うようなものだ。よく当たる会社のサイトは閲覧数が増え、広告料などの収入も大きくなる。つまり、成績予想でビジネスが成り立つほどファンタジーベースボールには多くの参加者がいる。

日本でも同じようなゲームを根付かせようという動きがあったが、今のところ成功していない。人気の野球ゲームといえば「ファミスタ」や「パワプロ」など選手としてプレーをする対戦型のタイプが主流となってきた。チームをつくりたいのか、プレーをしたいのか。このあたりのファン心理にも、野球の枠を超えた日米の価値観や嗜好の違いが垣間見えるように思うのだ。

 岡田友輔(おかだ・ゆうすけ) 千葉県出身。大学卒業後、民放野球中継のデータスタッフやスポーツデータ配信会社勤務を経て2011年に独立。株式会社DELTAを立ち上げ、野球のデータ分析やプロ球団へのコンサルティングなどを手がける。

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