2019年7月17日(水)

トランプ氏、非常事態宣言 壁建設へ「禁じ手」
政府閉鎖防ぐも議会に暗雲

2019/2/15 11:46 (2019/2/16 2:15更新)
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は15日、議会の承認を経ずに公約の目玉であるメキシコとの国境の壁を建設するため、非常事態を宣言した。議会の権限を無視する「禁じ手」に野党・民主党は反発を強めており、上下両院で多数派が異なるねじれ議会での政策協議の一段の停滞は必至だ。3月初旬に期限が切れる米債務の上限問題を巡る議会での与野党協議にも影を落としかねない。

15日、記者会見するトランプ氏(ワシントン)=AP

15日、記者会見するトランプ氏(ワシントン)=AP

トランプ氏は15日中にも上下両院が可決した予算案に署名。これにより、1月25日まで過去最長の35日間続いた政府閉鎖が再び起きる事態は回避される。トランプ氏は15日「国境での危機に立ち向かう」と強調した。

予算案は、焦点だった壁建設について約14億ドルを投じ国境沿いの55マイルにわたって新たなフェンスを設ける内容だ。「57億ドルを手当てして234マイルの壁」を造るというトランプ氏の要求とは隔たりがあるが、再度の政府閉鎖を避けるために共和、民主両党が互いに譲歩した合意だった。

ただ、要求に満たないからといってトランプ氏が予算案に署名しなければ16日から再び政府閉鎖を招き、自身が批判を浴びる。このため、合意を受け入れたうえで、非常事態宣言で金額を積み増すことにした。政府閉鎖を回避しつつ、2020年大統領選をにらんで公約の実現を期待する支持層にも配慮する苦肉の策ともいえる。

ホワイトハウスによると、非常事態宣言によって国防予算などから約80億ドル(約8800億円)を壁建設に充てることができる。ただ、その副作用は大きい。「非常事態宣言は不法行為で、大統領権限の乱用だ」。民主の上下両院トップのペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は14日、声明でトランプ氏の方針を激しく非難した。

禁じ手を使うことにより、民主との対立が決定的になる。「超党派で動くときだ」。トランプ氏は5日の一般教書演説でこう唱え、インフラ整備と薬価引き下げなどの社会保障改革の実現に向けた協力を民主に呼びかけたばかりだった。その実現の道を閉ざすことになりかねない。

ペロシ氏はトランプ氏が宣言に踏み切れば、法廷闘争に持ち込む構えも示した。米メディアによると、司法省はホワイトハウスに対し、法廷闘争によって宣言の効力が差し止められる可能性が高いと指摘していた。トランプ氏の周辺も訴訟リスクが高いと警告してきたという。

身内の共和内にすら宣言への反対論がある。「危機があるからといって憲法違反をしていいわけではない」。マルコ・ルビオ上院議員は14日、こうトランプ氏をけん制した。

共和には民主がいずれ政権を奪還した場合、同様の手段で銃規制の強化や地球温暖化の抑制に向けた非常事態宣言を出しかねないとの懸念がくすぶる。民主は宣言を無効にする決議案の提出を検討しており、共和の一部が同調する可能性も取り沙汰されている。

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