アマゾン、NY「第2本社」断念 多額の優遇に批判

2019/2/15 6:32
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【ニューヨーク=清水石珠実】米アマゾン・ドット・コムは14日、米東部ニューヨークに「第2本社」を建設する計画を断念した。背景にあるのは、市や州議会の地方議員たちによる強い反発だ。ニューヨーク州のクオモ知事やニューヨーク市のデブラシオ市長がトップダウンで進めた企業誘致に、地元選出の議員らがノーを突きつけた格好だ。

「何人かの州と市の議員がアマゾンの地元進出に反対する姿勢を明らかにした」。アマゾンは自社ブロクで公表した声明のなかで、計画撤回の理由をこう説明した。一方で、「情熱的に我々を市に招こうとしてくれたクオモ知事とデブラシオ市長には感謝する」と記した。

アマゾンが第2本社の建設を予定していたクイーンズ区ロングアイランド・シティー(ニューヨーク市)=AP

アマゾンが第2本社の建設を予定していたクイーンズ区ロングアイランド・シティー(ニューヨーク市)=AP

市と州が合計で30億ドル規模の助成金や税優遇処置を提供する代わりに、アマゾンは2万5千人の新規雇用を生んで地元経済に貢献するというのが、アマゾンの第2本社誘致のうたい文句だった。だが、地元民からは反発が噴出した。

アマゾンが本社建設を予定していたのは、中心部マンハッタン区から地下鉄で30分程度のクイーンズ区ロングアイランド・シティー。地元団体「ロングアイランド・シティー・コアリション」のメンバー、ピーター・ジョンソン氏は地元を「中間所得層の住民と零細ビジネスで成り立つ地域」と表現する。「この地域は地下鉄や路面バス、道路のインフラも不備で、急に従業員2万人以上のアマゾン本社が移動してきたら大混乱する。(家賃も急騰して)我々は追い出される」と心配していた。

多額の利益を上げているアマゾンに優遇処置は不要という意見も、ニューヨーカーの間では根強かった。自分たちの税金を使って、なぜ自分たちの生活を苦しめる存在を地元に招き入れなくてはいけないのか――。こうした不満の声に敏感に反応したのが、地元選出の政治家らだ。

「(アマゾンに)30億ドルはあげない」。クイーンズ区選出のニューヨーク州議会のマイク・ジアナリス上院議員など地元議員が相次いで助成金に反対する姿勢を明らかにした。こちらは国政だが、昨年秋の中間選挙で最年少の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオコルテス氏もクイーンズ区の一部を地元に持つ。社会民主主義的な政策を前面に打ち出して若者の支持を集める同氏も、「30億ドルは別のかたちで地元に投資すべきだ」とアマゾン優遇に反対していた。

第2本社計画の撤回を受けて、デブラシオ市長は「せっかくアマゾンにニューヨークに来るチャンスをあげたのに、途中で投げ出した」と批判するコメントを出した。クイーンズ区の隣にあたるブロンクス区のルーベン・ディアス・ジュニア区長はツイッターで「優遇処置を受けたら、地元民と妥協する必要があるということをアマゾンは理解していなかったようだ」とつぶやいた。撤退を決めても、ニューヨーカーのアマゾン批判は当面やまなそうだ。

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