2019年3月19日(火)

仏独、EV電池で対アジア「共闘」 2000億円投資

自動車・機械
環境エネ・素材
ヨーロッパ
2019/2/15 3:41
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【フランクフルト=深尾幸生、パリ=白石透冴】仏独が電池産業の育成で協力する。マクロン仏大統領は13日、今後5年間で7億ユーロ(約870億円)を同分野に投資すると表明した。独政府が打ち出した補助金構想と合わせると総額2千億円規模となる。電気自動車(EV)の主要部品である電池セルでは中国と韓国、日本のメーカーが市場を牛耳っており、欧州資本の企業を急いで育てる必要があると判断した。

仏メディアによると、マクロン氏は自動車業界団体の会合で「EVの電池が100%アジア勢によってつくられているのは好ましくない。欧州電池産業の覚醒が必要だ」と述べた。仏独の企業が連携して、フランスとドイツに1カ所ずつ電池工場が建設されるという。

ドイツは2018年11月にアルトマイヤー経済相が欧州企業による電池セルの生産のために約10億ユーロの補助金を設けることを表明していた。欧州連合(EU)の欧州委員会は「電池版エアバス」構想を打ち出しており、仏独両政府がこれに呼応した形だ。

電池はEVのコストの約4割を占める。欧州の自動車大手は電池パッケージの組み立ては自社で手がけているが、走行距離など性能の多くを決める中核の電池セルはアジア勢から購入している。

仏ルノーや独フォルクスワーゲン(VW)などは韓国のLG化学やサムスンSDI、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)などと調達契約を結んでいる。

欧州でも東欧に韓国勢が、ドイツにCATLが進出を決め、欧州での生産拡大は進む見通しだ。しかし、将来の安定調達を見すえると仏独両政府は欧州資本の電池セルメーカーが必要だと判断した。

政府の後押しは、EV用電池ではほぼ存在感のない欧州の電池メーカーにとってチャンスだ。仏エネルギー大手トタル子会社で産業用電池大手サフトは25年までに次世代の「全固体電池」を量産する計画を持つ。独シーメンスやベルギー化学大手ソルベイなどと連合を組み開発を進める。

サフトのギラン・レキエ最高経営責任者(CEO)は18年12月、取材に対し「研究開発の雇用が欧州に残る必要がある」とEUや政府の支援に期待を示した。

一方で、アジア勢に対抗するには独仏両政府による支援の規模が不十分との見方も強い。自動車部品世界最大手の独ボッシュは電池セルの自社生産を検討したが、18年に断念した。フォルクマル・デナー社長は1月末、「30年に20%のシェアを取るには200億ユーロの投資が必要になる」と話し、政府の支援があっても見直す考えはないことを強調した。

仏独は、シーメンスと仏アルストムの鉄道事業統合でも足並みをそろえて後押しした。統合は独占の懸念があるとして欧州委に認められず白紙に戻ったが、両政府は独占禁止についてのルールの見直しを共同でEUに提案する方針を示している。

台頭する中国など欧州外の企業に欧州が対抗するために、英国が離脱するEUの二大国である仏独が連携する場面は今後も増えそうだ。

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