EU、ネット著作権の保護強化 20年にも施行合意

2019/2/14 20:19
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)が検討中のインターネット上の著作権の保護強化策が、2020年にも施行される見通しとなった。著作権法の改正案を巡って加盟国で構成する閣僚理事会などが13日に政治合意した。米グーグルなど「プラットフォーマー」と呼ばれるIT(情報技術)巨人企業に、著作権侵害コンテンツの削除や適切な著作権の使用料支払いを義務づけるのが柱となる。

グーグルなどIT大手の規制が強化される=ロイター

グーグルなどIT大手の規制が強化される=ロイター

閣僚理事会と欧州議会、EUの欧州委員会による政治合意が成立したのはEUの著作権法の改正案で、約20年ぶりのEU著作権ルールの本格的な改正となる。IT業界の反発などで協議は難航していたが、合意にこぎ着けたことで5月の欧州議会選挙前の改正案成立のめどがたった。欧州委員会でデジタル政策を担うアンシプ副委員長は「デジタル時代にふさわしい現代的な著作権ルールを欧州人が手にする」とツイッター上で表明した。

EUは18年5月に企業による個人データの扱いを厳格化する一般データ保護規則(GDPR)を施行した。課税面でも、IT巨人企業の「税逃れ」を防ぐため、EU域内の売上高に3%課税するデジタルサービス税を検討するなど規制の網を広げている。データの「寡占」への警戒が世界的に広がる中、欧州の政策論議が他の国や地域へ波及する可能性がある。

改正案は、グーグル傘下の「ユーチューブ」や米フェイスブックなどプラットフォーマーに対し、ネット上に著作権を侵害するコンテンツが掲載されるのを未然に防ぐ責任があると明確にした。従来は著作権侵害を見つけた権利者がプラットフォーマーに削除を要請していたが、十分な対応がなされなかった場合の法的責任はプラットフォーマー側にあるとした。

主な対象となるのは、グーグルなど米IT巨人企業だ。発足から3年未満で、年間売上高が1000万ユーロ(約12億5000万円)未満、月間の利用者が500万人未満の中小規模のプラットフォーマーは対象外となる。

さらに、ネット上のニュース記事や動画、音楽などの著作物の制作者に公平な使用料を支払うことも義務づける。例えば欧州の報道機関は、「グーグルニュース」のようなネット上の記事集約サイトなどの記事使用料に関する交渉をしやすくなり、作者はその収益を受け取れるようになる。

一般のネット利用者が著作権で保護された作品の模倣やパロディーをユーチューブなどに投稿することは制限しない。研究や教育目的の利用も引き続き可能とする。

著作権ルール改革は欧州委員会が16年に提案。メディアやアーティストなどコンテンツを作成する側の権利を強化し、巨大化が進むプラットフォーマーに法的に対抗できる力を与えるのが狙いだ。政治合意を受け、3月にも欧州議会がEU著作権指令(法)の改正案として採決する。その後、加盟国が2年以内にEU指令に基づいて国内法を整備し、20年にも施行される見通しだ。

改革を巡っては、表現の自由を制約するとして反発するIT業界と、改正を求める報道機関やアーティストなどが互いに強力なロビー活動を展開してきた。欧州議会や閣僚理事会は当初1月中の改正案での政治合意を目指していたが協議は難航した。米ブルームバーグ通信は1月下旬、グーグルが改正案に反発して「グーグルニュース」の欧州大陸からの撤退を検討していると報道。一時は5月の欧州議会選前の改正案成立に不透明感も広がっていた。

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