JDI再建、時間との戦い 中台勢支援見通せず

2019/2/14 19:00
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経営再建中の液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)が瀬戸際に追い込まれている。14日の決算発表で、2019年3月期が5期連続の最終赤字になるとの予想を明らかにした。売上高の過半を依存する米アップル向けの販売失速で収益が悪化し、資金繰り懸念は急速に高まっている。「頼みの綱」とする中国と台湾の企業連合による出資交渉も波乱含みで、事実上の期限となる年度末が迫りつつある。

「経営陣として重く受け止める」。同日の決算会見で月崎義幸社長は必達目標としてきた連結最終損益の黒字化の断念を認めざるをえなかった。

19年3月期の営業損益は200億円超の赤字(前期は617億円の赤字)となる見通し。営業赤字は2期連続になる。従来は売上高営業利益率で1~2%を目指すとしていた。同日発表した18年4~12月期の連結決算は最終損益が108億円の赤字(前年同期は1006億円の赤字)、売上高は18%減の4653億円だった。

JDIの経営危機は17年にアップルが有機ELパネルを採用したことで深刻化。前期は1400億円以上をかけ従業員や工場のリストラを余儀なくされた。

JDIが再起を託したのがアップルが18年秋に投入した液晶モデル「iPhoneXR」だ。増資や工場売却で新たに550億円を調達して増産を急いだ。だが18年末には早くもXRの販売不振が表面化。XR向けのパネル受注は半分近くに落ち込んだ。JDIはさらなる構造改革を検討中とするが、次世代技術の有機ELパネル専用工場も持たないJDIに自力再建の芽は消えつつある。

17年夏に方針を掲げて以来、実現してこなかった海外スポンサー探しの具体化が待ったなしとなっている。黒字化への期待から当初は18年3月をめどとしていた交渉決着を急がなかったことが裏目に出た格好だ。

受注減少が深刻化した18年末から、中国ファンドのシルクロード・インベストメント・キャピタルが主導する企業連合との出資交渉を進めている。台湾のタッチパネル大手・宸鴻光電科技(TPK)、中国の自動車部品大手・敏実集団(ミンスグループ)が参加。600億~800億円の資金支援を受け、筆頭株主として迎え入れる方向で交渉している。

企業連合は出資と別に中国に5000億円規模の有機ELパネル工場を建設する計画だ。中国はパネルの国産化を進めているため省政府の補助金が期待できる。資金余力のないJDIは知的財産など技術を提供する案を検討。中国マネーをテコにアップル向けのビジネスをつなぐ構想を描く。

決算発表するジャパンディスプレイの月崎義幸社長(14日、東証)

決算発表するジャパンディスプレイの月崎義幸社長(14日、東証)

だが時間の猶予は日に日に失われている。JDIの現預金は18年12月末時点で543億円。今期に550億円を調達したが、18年3月末に比べて265億円減った。

事業で得る収入で設備投資を賄いきれていない状況が現金流出に拍車をかける。本業で稼ぐ営業キャッシュフローから設備投資などで支出するキャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフロー(純現金収支)は9四半期連続の赤字だ。

スマートフォンの年末商戦に向けた需要期に備え、6月ごろまでに数百億円規模の部材調達費が必要とみられる。各国の独禁法審査などの手続きをそれまでに終えて資金を確保するには、中台の企業連合との年度内の合意がめどとなる。

だが中台連合との交渉は険しい道のりだ。出資額などの条件や出資後の事業計画はなお隔たりがあるもようで調整が続いている。韓国に続き中国のメーカーも有機ELパネルの量産を進めており、「量産実績のないJDIに技術の優位性は薄い」(ディスプレー業界アナリスト)と厳しい見方もある。

米中が貿易戦争を繰り広げるなか、当事者同士が合意しても実現に至らない可能性もある。16年には中国投資会社による独半導体装置メーカーの買収が対米外国投資委員会(CFIUS)の反対で断念に追い込まれた。

JDIが有機ELパネルの量産技術で協業する米装置メーカーは、米商務省によって中国半導体メーカー、福建省晋華集成電路(JHICC)への装置輸出を止められた経緯がある。

厳しい資金繰りを考えれば、今回の交渉はJDIにとって「最後のチャンス」となりかねない。筆頭株主の官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)や日本政府の意向次第で「法的整理というシナリオも否定できない」(関係者)との声までささやかれ始めた。

14年3月の上場時の公募価格は900円だったが、足元の株価は70円台に沈む。JDIは「INCJとも連携しながら複数社と交渉を継続している」(月崎社長)とするが、「日の丸液晶」の先行きは混迷の様相を深めている。

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