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豪州、2032年に電力を全て再エネに コストは「ゼロ」

日経クロステック

オーストラリア国立大学(ANU)は、同国における再生可能エネルギー発電設備の1人当たり年間導入量が世界最多という調査結果と、パリ協定での合意による温室効果ガス排出量の抑制目標を5年前倒しで2025年に達成可能とする見通しなどを19年2月7日に発表した。

ANUで同調査を主導した電気・エネルギー・材料工学部(RSEEME)のアンドリュー・ブレイカーズ教授は、オーストラリアでは18年、国民1人当たりの再エネ設備の導入容量が、欧州連合(EU)や日本、中国、米国より4~5倍多かったと述べている。

オーストラリア国立大学は、同国における再エネ設備の一人当たり導入容量は欧米や日本、中国などと比較して4~5倍多いとの調査結果を発表した(出所:ANU)

ブレイカーズ教授は、「オーストラリアの電力は2024年までに50%、2032年までに100%が再エネになる。パリ合意の排出量抑制目標は、5年前倒しとなる2025年に達成できるだろう」との見通しも示した。

オーストラリアで建設される太陽光と風力(いずれも地上設置)の設備容量は年間に約4.3GW。これに加えて、屋根上に設置される太陽光が毎年約2GWに達する(出所:ANU)

同調査の共同研究者であるマシュー・ストックス博士によると、パリ合意で定められた30年の時点における温室効果ガス排出量の目標を達成する正味のコストはほぼゼロという。その理由は、高価な化石燃料がより安価な再エネで置き換えられるためである。

ストックス博士は、「オーストラリアにおける大規模な太陽光と風力発電所の電力の価格は、現在MWh当たり約50ドルであり、着実に下落しつつある。同コストは、既存のガス火力、新設されるガス火力や石炭火力の発電所より低い水準。新設される発電所のほぼ全部が太陽光か風力だ。エネルギー政策が開発の妨げとならなければ、この状況が今後も続くだろう」と述べている。

また、もう1人の共同研究者であるビン・ルー氏は、再エネ100%でも電力網の安定化は現在既に幅広く活用されている技術と、現在開発段階にある新しいスマートエネルギー・システムによって可能という。

ルー氏は、「蓄電、デマンドマネジメント、高圧送電線の相互接続を州間で強化することなどによって電力網の安定運用が可能で、局地的な天候の影響も平準化できる。蓄電技術として現時点で進んでいるのは、揚水発電と蓄電池だ。オーストラリアの石炭火力発電所は旧式で信頼性が低下しつつあるが、再エネによる最新システムへの移行によって電力網の安定性が改善されるだろう」と述べている。

オーストラリアの再エネ開発では、日本企業による投資や案件買収も増加の傾向にある。

(日経BP総研 クリーンテックラボ 大場淳一)

[日経 xTECH 2019年2月13日掲載]

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