2019年7月23日(火)

メルカリに屈するな 「わらしべ少年」の反撃
リユースの旗手たち(1)

リユースの旗手たち
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2019/3/17 2:00 (2019/3/18 2:00更新)
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買うよりシェア、買うならリユース(中古品)――。若い人々が従来の大量生産、大量消費の枠組みを拒みはじめている。スマートフォンで簡単に売買できるメルカリに触発されて、これまで裏方のイメージだったリユース業界にも30~40代の改革者たちがあらわれた。大量生産のムダを吸収する経済の「静脈」を進化させろ――。リユースの旗手たちを5回連載で追う。

【次回記事】「コメ兵の袋はずかしい」 4代目を奮起させた言葉

■AKIRAの倒産

昨年10月2日、リユース業界に衝撃が走った。子供服のリサイクルショップを運営するAKIRA(東京・江東)が経営破綻したのだ(「『メルカリエフェクト』でリサイクル店が破綻」参照)。全国に約70店を出していた中堅のリユース会社だ。

AKIRAが展開していた子供服のリサイクルショップ

AKIRAが展開していた子供服のリサイクルショップ

社長の東晃司は民事調停の場で「メルカリの台頭で資金繰りが大幅に悪化した」と説明した。2005年に建築会社として出発し、2008年から「ECO&KIDS AKIRA」を瞬く間に全国にひろげ、2016年3月期には年商9億円超を稼いでいた。

メルカリによると、20~30代の利用者が出品する商品カテゴリーのランキングは「おむつ」「授乳」「ベビー服」など子供用品が上位5位を独占する。「ユーザーに主婦層が多いこともあり子供用品は活発に取引されている」(メルカリ)。

運悪くAKIRAが集中した子供服は、メルカリが最も得意とする分野だったのだ。

フリマアプリの影響はうけながらも村川氏の表情は明るい

フリマアプリの影響はうけながらも村川氏の表情は明るい

■「フリマアプリに立ち向かう」

「いよいよ来るときがきたな」――。AKIRA倒産を岡山県の本社で耳にした村川智博(42)はつぶやいた。村川は衣料品のリサイクルチェーン「ベクトル」の社長。国内で70店舗を運営している。「メルカリ登場後、店舗ごとの業績は急激に悪化している」と自覚している。

特に、仕入れる商品が不足しているのが厳しい。「10年前だと月に300万円分の商品を買い取っていた店が、今では150万円しか買い取れない」。理由は簡単で、「店では家賃も人件費もかかる。メルカリよりも高い買い取り金額を提示できない」。

だが村川の表情は明るい。「フリマアプリは脅威だ。だから自分たちも変わらなければ」。メルカリを敵視するより、これを機に中古品業界を「アップデート」しようとする若い経営者の一人だ。

リユース市場は2兆円に迫る規模まで成長したが、やはりけん引しているのがフリマアプリだ(2018年6月のメルカリの上場セレモニー)

リユース市場は2兆円に迫る規模まで成長したが、やはりけん引しているのがフリマアプリだ(2018年6月のメルカリの上場セレモニー)

■潜在需要呼び起こす

新品の生産、消費を経済の動脈とするなら、中古品の流通は「静脈」とも呼ばれる。ステータスの象徴だった新車に若い人が興味を失い、中古品にかつてのような後ろめたいイメージはなくなった。消費行動は激変の兆しを見せている。

リユースの市場規模は1兆7700億円と拡大中。ゲーム業界(約1兆6000億円)を超え、出版業界やアニメ業界(いずれも約2兆円)に匹敵する規模だ。そのうち従来の店舗販売は9300億円(前年比2%減)。やはりけん引しているのがフリマアプリによる個人間取引での5100億円(26%増)だ。

慶応大大学院経営管理研究科准教授の山本晶は「メルカリが呼び水になって個人の中古品取引の潜在的な需要がわき起こっている」と指摘する。倒産する同業者を出しながらも村川たちが「メルカリのおかげで市場が活性化している」というのは、あながち負け惜しみでないことがわかる。

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