2019年7月19日(金)

広がるブロックチェーン革命、仮想通貨に続く10業種

CBインサイツ
コラム(テクノロジー)
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2019/2/18 2:00
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CBINSIGHTS

 「分散型台帳」と訳されるブロックチェーンが仮想通貨を支える基幹技術であることは広く知られている。世界中のコンピューターを使って記録したデータを、鎖(チェーン)のようにつないでいく。記録を書き換えようとすれば「鎖」をつなぎ合わせるようにして過去のデータをさかのぼる必要があるため、改ざんはほぼ不可能とされる。いち早く使われたフィンテックが従来の金融業に変革を迫っているように、ブロックチェーン革命は広い産業に押し寄せている。50業種での変革の動き取り上げたCBインサイツの記事のうち、ここでは10業種に注目する。

ビットコインなどの仮想通貨を可能にしているのはブロックチェーンの技術だ。ブロックチェーンは世界にまたがる公開台帳で、どこからでも大量のデジタル取引を自動的に記録して検証できる。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

ビットコインの普及はブロックチェーンが金融分野で有用であることの証しだが、この技術はさらに多くの業界を変える可能性を秘めていると信じる起業家が増えている。透明性が高く、検証可能な方法で取引データを記録できるブロックチェーン。中心的な管理者が要らないので、改ざんが難しいのも特徴だ。その用途はいくらでもある。

スタートアップ各社はブロックチェーンを使ってデジタル情報システムの透明性と精度をさらに高めている。インフラから公共政策に至る様々な分野でこの技術の認知度が高まっている。以下は各社の最新のブロックチェーン活用事例だ。

1.銀行

銀行はスタート地点にすぎない。だがマクロ的にみれば、価値の保管庫であり、移転の拠点だ。ブロックチェーンはデジタル化され、安全で改ざん耐性も高い台帳なので銀行と同じ機能を果たし、金融システムの精度や情報共有を強化できる。

スイス金融大手UBSと英金融大手バークレイズはブロックチェーンを使って事務管理や決済を迅速化する実証実験を進めている。業界では仲介コストを最大200億ドル削減できるとの見方もある。

ブロックチェーン技術を手掛ける新興企業に投資する金融大手は増えている。例えば、米フィンテック企業R3CEVは80以上の銀行や規制当局、IT(情報技術)企業などと共同で、金融市場の「新たな基本ソフト(OS)」を目指すブロックチェーン基盤「Corda(コーダ)」の開発に取り組んでいる。

2.対話アプリ

データを暗号化しているドイツの対話アプリ「テレグラム」は、一定の投資家だけを対象にした「プライベートセール」の仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)で17億ドルを調達し、過去最高となる12億ドルを調達すると注目されていたICOの一般販売(パブリックセール)を取りやめた。それでもなお、テレグラムはブロックチェーン基盤「テレグラム・オープン・ネットワーク(TON)」の開発を進めている。これを使えば、決済やファイル保存、検閲を回避できるネット閲覧など、2億人に上るテレグラムの利用者向けサービスを拡充できる。

カナダのチャットプラットフォーム「Kik(キック)」はアプリ内通貨の開発資金としてICOで1億ドル以上を調達した。日本で最も使われている対話アプリ「LINE」は暗号通貨取引に参入する計画を進めているとされる。

3.ヘッジファンド

米Numerai(ヌメライ)は膨大な人数のトレーダーやアナリストを抱えるヘッジファンドだ。米ファースト・ラウンド・キャピタルや米ユニオン・スクエア・ベンチャーズなど著名ベンチャーキャピタル(VC)の出資を受けている。ヌメライは世界各地のアナリストに暗号化されたデータセットを送り、予測モデルを構築してもらう。素晴らしいモデルを構築したアナリストには、報酬として同社のトークン(デジタル権利証)「Numeraire(ヌメライア)」を与える。ヌメライはこうして取引の「メタモデル」をつくる。これはある意味では、(クラウドソーシングでモデルを構築してもらった)データサイエンティストに報酬を与える米ヘッジファンドQuantopian(クオントピアン)のブロックチェーン版だ。もっとも、ヌメライではトレーダーらが競争というよりは気付かぬうちに互いに協力している側面が強い。

4.投票

選挙では投票者のID確認や、票を追跡できる確実な記録、当選者の判断に必要な信頼できる集計が求められる。将来的には、ブロックチェーンを使ったツールが投票や票の追跡、集計の基幹インフラになる可能性がある。不正投票など汚い手が通用しなくなれば、再集計を不要にできるからだ。

政府や投票者はブロックチェーンを通じて票を取引と捉えることで、監査記録を検証できるようになり、票の改ざんや抜き取り、偽造をなくせる。米スタートアップ企業Follow My Vote(フォロー・マイ・ボート)は保有している仮想通貨の量(ステーク)に応じた加重投票制によるエンドツーエンドのブロックチェーン投票システムのアルファ版(開発者向けの試作品)をリリースしている。

5.インターネットのID・ドメイン名システム(DNS)

現在のウェブでは、利用者の本当のIDを設定するのは難しい。使っているアプリに相互運用性がなく、ログインにフェイスブックを使うのが精いっぱいだったりするため、個人情報は企業のサーバーに置かれている。「Blockstack(ブロックスタック)」や「uPort(ユーポート)」といったプラットフォームは、利用者が自分のIDをネット上で自由に持ち運べる未来を描いている。例えば、ブロックスタックでは、利用者は分散型ネットワーク上のアプリにアクセスし、自分のデータを完全に持ち運べる。

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