2019年7月22日(月)

勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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ハーフタイムにも成長 サッカー日本の高き修正力

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2019/2/15 6:30
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10年12月の国際サッカー連盟(FIFA)理事会の投票でワールドカップ(W杯)22年大会のホストに決まってから、カタールはぶれずにタレントの発掘と育成と強化を一貫してやってきた。ここには「アスパイア・アカデミー」という国丸抱えの育成組織があり、トレーニング環境は非の打ち所がない。今回のカタール代表も7割くらいはこのアカデミー出身と聞いた。

そのアカデミーで手塩にかけて育てた選手をフル代表まで持ち上がり、初のアジア王座を手にしたのがスペイン人のフェリックス・サンチェス監督だった。

同監督はカタールで3年前に開催したU-23(23歳以下)アジア選手権で4位になり、3位までに与えられたリオデジャネイロ五輪の出場権を逃した。日本は優勝して切符を手にしたが、もし、あのとき、3位決定戦で1-2でイラクに敗れた責任をサンチェス監督に負わせ、解任していたら、今回の栄光はあっただろうか。

人を育てた国だけが勝てる

あのときの悔しい思いをサンチェス監督は見事に晴らしたわけだが、あそこで監督を代えなかったカタール協会も立派だったと思う。一人の監督を信じ、指揮を委ね続けたことで今回大輪の花を咲かせた。

アジアカップで優勝し、表彰式で歓喜するカタールのイレブン=共同

アジアカップで優勝し、表彰式で歓喜するカタールのイレブン=共同

カタールの優勝は人を育てた国だけが勝てるということを如実に示すもの。目先の成功ではなく、成長を意識して未来への投資を欠かさない国だけに栄冠は訪れる。国や人口の大小で勝負は決まらない。カタールの成功はそんな大きな刺激をアジア全域に与えたことだろう。

今大会ではキルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンといった中央アジア勢の台頭も感じた。東南アジア勢も着実に力をつけている。1次リーグでフィリピンが韓国を0-1と苦しめたことには驚かされた。タイとベトナムは決勝トーナメントに進み、ベトナムは日本を準々決勝で苦しめた。

昨年1月のU-23アジア選手権で準優勝したベトナムは、そのときのメンバーが日本戦の先発に6人いた。控え組も入れると13人。アンダーエージの大会で自信をつけた若者たちだから、フル代表の日本にも臆せず立ち向かってくるわけで、こういう芽がこれからどこまで伸びるか楽しみである。

今大会は出場チーム数を16から24に増やしたことで、開幕前は力の差が目につく大会になるのではと心配していた。始まってみると大差の試合は少なく、アジア全体のレベルアップを示す結果になった。

日本を苦しめたベトナムの強化には、代表監督だった三浦俊也氏が深く関わった。誇らしいことである。そして、今もアジア全体の底上げに貢献するため、日本からたくさんの指導者が派遣され、育成段階からフル代表まで、さまざまなポジションで活躍されている。北マリアナ諸島、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、東ティモール、ブータン、タジキスタンなどがそうだ。

今回のアジアカップは各チームの力の差が縮まっていることを痛感させた。いつまでも目標であり、手本とされる日本サッカーであるために、こちらも不断の努力を欠かせない。

(サッカー解説者)

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